支援(しえん)の広がり

　1951年（昭和26年）にサンフランシスコ平和条約調印後(へいわじょうやくちょういんご)、行政(ぎょうせい)による被爆者(ひばくしゃ)への援助(えんじょ)が少しずつ進展(しんてん)した。プレスコードも解除(かいじょ)され、出版物(しゅっぱんぶつ)などで原爆(げんばく)の被害(ひがい)について徐々(じょじょ)に知られるようになった。国内でも原爆(げんばく)の被害(ひがい)を受けた人々への支援(しえん)が広がっていく。また、被爆者自身(ひばくしゃじしん)も立ち上がり、援護(えんご)を求めて訴(うった)え、それが国による法律(ほうりつ)を制定(せいてい)することにつながった。海外からは、国内の動きに呼応(こおう)し、被爆者(ひばくしゃ)を対象とした医療(いりょう)や精神的(せいしんてき)なケアを目的とした援助(えんじょ)も始まった。

立ち上がる人々

　連合国による占領(せんりょう)が解除(かいじょ)されると、国や広島市でも被爆者援護(ひばくしゃえんご)の取組が動き始めた。しかし、援護(えんご)は十分ではなく、被爆者自身(ひばくしゃじしん)が声を上げ、被爆者団体(ひばくしゃだんたい)の組織化(そしきか)が進んだ。そして原水爆禁止(げんすいばくきんし)や国による被爆者援護法(ひばくしゃえんごほう)の制定(せいてい)が悲願となっていった。


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原爆被害者(げんばくひがいしゃ)の会の結成 1952年(昭和27年)8月10日 積極的に声を上げた人々は、援護(えんご)と原爆反対(げんばくはんたい)を求める組織(そしき)として1952年(昭和27年)8月10日、「原爆被害者(げんばくひがいしゃ)の会」を結成した。
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被爆者(ひばくしゃ)の診察会(しんさつかい) 1953年(昭和28年)1月18日　
広島市民病院(基町(もとまち)) 1953年(昭和28年)1月13日、「広島市原爆(げんばく)障害者(しょうがいしゃ)治療(ちりょう)対策(たいさく)協議会(きょうぎかい)」（以下、原対協）が被爆者(ひばくしゃ)の治療(ちりょう)や原爆(げんばく)の障害(しょうがい)に対する研究を目的に発足。発足から5日後には広島市民病院で診察会(しんさつかい)が実施(じっし)され、75名の被爆者(ひばくしゃ)が診察(しんさつ)を受けた。

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治療(ちりょう)のための募金活動(ぼきんかつどう) 1953年(昭和28年)8月6日 原対協では、被爆者(ひばくしゃ)の生活は苦しかったため、大半は、原対協が治療費(ちりょうひ)を全額負担(ぜんがくふたん)せざるを得ない状況(じょうきょう)であった。治療資金(ちりょうしきん)は、県、市の助成金やハワイ移民(いみん)からの寄付金(きふきん)によってだけでは十分ではなく、NHKのラジオ番組を通して全国的な募金活動(ぼきんかつどう)が行われた。
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広島県原爆(げんばく)被害者(ひがいしゃ)団体(だんたい)協議会(きょうぎかい)の結成 1956年(昭和31年)5月27日　広島YMCA(基町(もとまち)) 1956年(昭和31年)5月27日、「広島県原爆(げんばく)被害者(ひがいしゃ)団体(だんたい)協議会(きょうぎかい)」が結成され、会では、援護法(えんごほう)の制定(せいてい)、原水爆(げんすいばく)禁止を求め、活動を推進(すいしん)していくことが決定された。

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専門(せんもん)病院の建設(けんせつ) 1956年(昭和31年)9月　広島原爆(げんばく)病院(千田町1丁目) 被爆者(ひばくしゃ)の治療機関(ちりょうきかん)の建設(けんせつ)も進み、1956年(昭和31年)9月11日、広島赤十字病院の構内(こうない)に広島原爆(げんばく)病院が完成した。
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被爆者(ひばくしゃ)健康手帳(けんこうてちょう)の交付を待つ人々 1957年(昭和32年)6月3日　広島市役所仁保出張所(にほしゅっちょうじょ) 1957年(昭和32年)、国により「原爆(げんばく)医療法(いりょうほう)」が制定(せいてい)され、被爆者(ひばくしゃ)は、被爆者(ひばくしゃ)健康手帳(けんこうてちょう)の交付を受け、治療(ちりょう)に必要な費用が国から支給(しきゅう)されるようになった。しかし、支給(しきゅう)には厚生大臣(こうせいだいじん)の認定(にんてい)を必要とし、入院により減少(げんしょう)した収入(しゅうにゅう)を補(おぎな)う費用の支給(しきゅう)が認(みと)められていなかったため、その後も法律(ほうりつ)の改正を求める訴(うった)えが続いていった。
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被爆者(ひばくしゃ)健康手帳(けんこうてちょう) 当時、被爆者(ひばくしゃ)の医療(いりょう)に携(たずさ)わっていた医師(いし)が作成したもので、1957年(昭和32年)の原爆(げんばく)医療法(いりょうほう)の制定(せいてい)に先駆(さきが)けて作成された。手帳は、自身が開業していた地域(ちいき)の被爆者(ひばくしゃ)へ配布(はいふ)された。