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第19回 広島平和記念資料館展示検討会議要旨

1 日時  
平成27年(2015年)10月5日(月)午後2:00~4:00

2 場所
広島国際会議場地下1階 会議運営事務室

3 出席委員(11名)
今中委員長、大井副委員長、水本副委員長、石丸委員、宇吹委員、大澤委員、神谷委員、静間委員、坪井委員、賴委員、小溝委員

4 事務局(14名)
平和記念資料館 志賀館長、増田副館長、立石副館長、宇多田課長補佐、上村主査、落葉学芸員、阿座上主事、福島学芸員、土肥学芸員、小山学芸員
平和文化センター総務課 清川参事
市平和推進課  末定被爆体験継承担当課長、永井専門員、戸根主事

5 丹青社(6名)

6 議題等
議題  東館展示について

7 公開、非公開の別
公開

8 傍聴者
報道機関9社ほか7名

9 会議資料名
第19回広島平和記念資料館展示検討会議次第
広島平和記念資料館東館展示物等整備 検討資料

※会議資料は、広島平和記念資料館学芸課(広島市中区中島町1番2号:広島平和記念資料館東館地下1階)でご覧いただけます。また、会議要旨はホームページでも公開しています。

10 会議要旨

《開会》

【丹青社】
資料について説明。また8月31日の事前協議の模様を動画で確認。

今中委員長 
6月4日の展示検討会議、8月31日の事前協議で各委員から色々な課題・指摘が出された。概ね指摘に沿って応えている。これについて皆様のご意見をさらにお伺いしたい。ご感想もあればお願いする。 

石丸委員
P.7の7番、私の発言が間違って書かれている。現在の平和大通り付近にあった新橋は8月6日が渡り初めで、当時100mほど上流側は仮橋がある。被爆時には、新橋と仮橋の両方があった。現在の平和大通りにあった新橋は、被爆時にはまだ使われていなかった。
もう1つの発言で、画面が動いている時に、出っ張った模型の影が気になったと言ったが、この記述にない。どう対応できるかはお任せする。模型の影が、変な画像が動いているように見えた。この対応はできるのか。  

事務局 
模型上で表現する被爆建物の数と位置は、制作しながらチェックする。今言われた違和感が出るようであれば、改めてご意見を頂きながら調整を図りたい。当初から被爆建物を模型で表現する事になっており、まずは制作に着手する。 

静間委員 
前回は出席していないが、6月4日の段階では、爆発して衝撃波が走るシーンがあった。P.5の4番である。今回はそれがなくなっているのか。 

事務局 
作り込みの過程であり、8月末の段階では爆発シーンは制作していない。今後その部分を作り込んでいくので、次回に改めてご意見をいただきたい。 

大井委員 
P.7の2番にあるように、パノラマの画像が動くため、平衡感覚が失われる。
ホワイトパノラマ模型の高さは床から何センチか。 

事務局 
15センチぐらいである。 

大井委員 
手すりの構造は、見学者の安全を考え、パノラマの邪魔にならず、なおかつしっかりしたものにしたほうがよい。
P.7の12番、早く見る人、ゆっくり見る人、車椅子の人など、それぞれの動線を検討することは重要である。ホワイトパノラマは囲んで見られるようになっているが、周囲に柱が3本あり、壁も迫っていて、人が通過しにくい場所がある。来館者がどう動けば良いのか確認できるような処理が必要である。 

事務局 
手すりはこれから詳細を検討する。堅牢で、パノラマの邪魔にならない、シンプルな構造のものにし、CG等で確認いただく。
動線については、展示の冒頭で来館者がまだ散らばっていないところであり、足をとめる情報が少ないため、ホワイトパノラマに集中することが考えられる。事務局とも十分相談し、ご報告したい。 

石丸委員 
ホワイトパノラマは良いと思うが、整い過ぎている。展示全体のストーリー、コンセプトなどについて、展示が始まったらマスコミが何か言ってくると思う。手づくり感がなくなり、コンピューターで作られた感じになってしまうことについて考えていただきたい。今の時代はコンピューターであるが、もう少し人間の手や意識が加わって展示までつながっていることを資料館としても考えていただきたい。 

今中委員長
ホワイトパノラマに関してか。 

石丸委員 
全体に関してである。 

小溝委員 
ホワイトパノラマは上から俯瞰で見る。横から見なければわからない様々な市内の状況を他で補完することについて検討を始めていると思うが、かなり重要なので引き続きお願いしたい。 

事務局 
展示は本館がメインとなる。本館の次に東館がオープンする順序であれば、色々出ているご指摘をうまく解決できると思う。しかし補足説明のため最新技術を盛り込み、手づくり感を排除した、洗練された展示を行う東館が先にオープンするため、なおのことそういう印象になる。開館間もない頃の展示は迫力があったとよく言われる。そこを意識した議論をしていければと思う。 

今中委員長 
2018年にオープンした時、「きれいになった」ということになると、成功だったのか失敗だったのか。検討会の確認事項として、そういったこともある。東館は補足資料の展示なので、コンピューターやデータを駆使したほうが良い。特にホワイトパノラマは例外的に扱っても良いと思う。 

宇吹委員 
視点やどの視角から見たのか、及び被爆人口を大きな問題として考えている。
死者14万人という数字をこの時点で出すのは非常にインパクトが強い。広島市の公式見解として出すのか。70年代後半に提案された数字で、検討されないまま今日まで来ている。広島市の数として最新のものを常にここへ取り入れていくという姿勢の方が良いのではないか。今後も動いていくと思うが、人口動態調査の現時点での数字を挙げたらどうか。
人口動態の結果によれば、3キロ以内には25万1,000人が被爆時にいたというのが出発点であり、入市被爆の人もいる。なぜ導入部分で昭和20年末の数字が出てくるのか。それも1つの見解だとは思うが、非常に強いメッセージになる。
14万人が出された経緯は、海外から見て「広島が大げさに言っている」という反応に対し、納得してもらえるような数字を出す、というのが出発点だった。広島市の現時点の数としてこうだ、というものであれば説明がつきやすい。
視点については、エノラ・ゲイを見たという被爆者の証言は多数あるが、リトル・ボーイを見たという証言はあまりない。ここにそういうものが出てくるのは違和感がある。ストーリーとしてどうすれば良いということではないが、何かうまい方法はないか。 

今中委員長 
P.3で、1945年の終わりまでの死者が約14万人であったとホワイトパノラマに表示することにしている。ここに入れる数字が14万人ではいかがなものか、というご指摘か。最初の導入部分で使われる数として適切かどうかということか。その他、全体を通してご意見、ご質問があればお願いしたい。 

宇吹委員
あえて入れるという考え方なら、それでも良いと思う。

今中委員長 
1945年の12月末までの死者数は14万人と認識しているが、違うとすれば検討の必要がある。

宇吹委員   
急性障害が落ちついた時期ということだと思う。急性障害、直後の被害は本館の中で取り上げられる。他にこういう記述はないのに、この数だけがここへ出てくることに少し違和感がある。非常に多くの人が亡くなったのだと伝えるなら、どれだけ多くの人が3キロ圏内にいて、その頭上に落ちたのだという表現が良いと思う。 

事務局
ホワイトパノラマは半径2.5キロ、直径5キロのエリアで示している。これは家屋が全壊・全焼した半径2キロが入るエリアで、それが被爆前後ではっきりわかるようにという趣旨でつくったものである。3キロ以内という視点とはスタートが異なっているが、人口動態の方が良いということなら、再検討の余地はある。

小溝委員
導入部の基本的な考え方として、ホワイトパノラマに入れる数字はなるべく単純明快なものが良いと思う。宇吹先生がご指摘の数字については、どれくらいの範囲にどれくらいの人がいて、入市被爆の人もいるという背景、人口動態のグラフなどもあるとは思う。混乱の中で試算され、どこまで特定できるかわからないが、死者数14万人はそれなりに信頼性のある数字である。その辺の背景はむしろ別の説明のところで見ればわかるようにした方が良いのではないか。ここであまり説明し過ぎてもいけない。なお、死者数の評価について、当初は20数万人とか、7万人未満とか、色々な数字がある中で、色々と議論し、工夫して調べてきたもので、しかも急性障害が落ちついた時期である45年末の数字で整理することには、それなりの妥当性があるのではないか。
 
宇吹委員
広島市の公式の数としてこれが一人歩きしてきた。今後ずっと説明をしていかなければいけない立場で検討してもらえればということである。
 
今中委員長
1945年の年末までの死者数14万人をホワイトパノラマの導入部分で出しても良いかどうか、被爆距離の問題もあり、事務局で詰めて欲しい。導入部分に何らかの数字はあった方が良いが、適切でない数字を出すとそれが定着してしまう。まだ時間があるので、ここで数字を出すのなら、もっと別の数字にした方が良いかどうかも含めて検討する。 

坪井委員 
我々は実際に被爆体験を証言するのだから、訳のわからない数字を言ってはいけない。14万人は世界的に公認されている数字だと思うが、感覚的にはそれより多いと思っている。しかし、範囲がどこまでかなどいろいろ問題もあり、「約」をつけたりする。国連に報告しているものである。
今後、新たな文献などが出たら、そのときにまた検討しても良いと思う。あまり決めつけるのはどうか。被爆人形の問題でもそうだが、一般の人と被爆者とでは見方が全然違ったりする。思いがずれてしまうことが怖い。数字については、括弧つきでもう少し詳しく説明してもよいと思う。 

石丸委員 
ここが導入展示であるとわかる表示はあるのか。部屋の名前は掲示するのか。 

事務局
サインを設置する。大きなものを東館1階に設け、リーフレットなどにも載せる。 

石丸委員
導入の意味がうまく伝わることが重要である。
 
水本委員 
現時点で示す数字としては、単に8月6日に亡くなった人ではなく、急性障害が落ちついた時期における推計が14万人であるということでよいと思う。 

宇吹委員
正確な数がいつか出るというものではないと思う。14万人は国連に提出した時点での推定であり、今、広島市としては人口動態の調査に取り組んでおり、今後も継続して行っていくと説明した方が納得してもらえる。市の見解としてどうなのかという検討は、今後も問題になっていくと思う。

今中委員長
色々なご意見が出て、それぞれにそうかなという思いがする。ホワイトパノラマに数字を入れるとすれば、「何々調べ」といった説明をつけておけば、問題視されることはないと思う。数字を入れるのかどうか、入れるとすれば、どういう数字をどういう形で入れるか、次回以降に決めたい。
丹青社には委員会の注文にもかなり対応してもらったが、まだ十分でない点も指摘されたので、個別の問題についてもう少し詰めていただきたい。

今中委員長
展示解説グラフィックパネルと東館1階について説明をいただきたい。 

【丹青社】
丹青社より展示解説グラフィックと東館1階について説明。展示解説グラフィックを実物サイズで委員にご確認いただく。

石丸委員
字数はそれぞれ幾らか。

丹青社
見出しは20字程度であるが、それを超えるものもあるので、今後調整していく。リード文は200字程度であるが、執筆会議で決まったものには250字程度のものもある。原稿量としてはかなり多い。

石丸委員
大項目と中項目の字体やフォントの大きさを変える必要があるか。
 
丹青社
見やすさという観点で共通化を図っている。 

神谷委員
背面はこの色なのか。 

丹青社
これは紙だが、実際は黒いガラスに白文字で表記する。

水本委員
段落の頭は1字あけないのか。実際の読みやすさを検証する必要がある。

丹青社
検討する。

大澤委員 
修学旅行の子どもが多数来るが、ルビはつけないのか。

丹青社
今は入っていないが、ルビは想定している。

宇吹委員
字間が狭くないか。

丹青社
可能な限り調整した結果の行間であるが、今後また最終的な調整を行う。

水本委員
文字の高さはこの通りか。

丹青社 
この通りである。日本語の解説が始まるところで、床からの高さが2メートルである。

今中委員長
丹青社から説明があった。さらに聞いておきたいことがあればお願いしたい。

大澤委員
この高さは身長何センチくらいに合わせたのか。子どもには高過ぎる。 

丹青社
今、本館では2メートル以上に映像のモニターがあり、原稿はそれより下にある。それを参考にして2メートルに設定している。決して子どもが見られないことはない。

大澤委員
横浜の県立博物館では、子ども用に低く展示してあり、大人には高さが低いという話だった。その中間をとったのか。

丹青社
そうである。

石丸委員
明らかな間違いがあった場合、どの程度の期間で修正できるのか。

丹青社
文字だけを上から貼るなどして早急に対処するが、パネル全面を貼り替える場合は1週間程度かかる。 

大井委員
3階の天井高はどのぐらいか。

丹青社
2つあり、端が3メートルで、中央部が4メートルである。P.9の大項目パネルにコーナーの番号が書かれているが、ここがおよそ3メートルの位置になる。

大井委員
今、パネルの上端が圧迫されて見えるのは、この場所だからか。

丹青社
そうである。

今中委員長
展示解説について、見やすさの問題など色々とご指摘があった。丹青社にまた検討していただきたいが、概ねこれで良いと受けとめた。まだ時間があるので、次回に指摘していただいても良いと思う。 

石丸委員
ミュージアムショップが小規模である。広島で平和のことを勉強したい人がここに買いに来るぐらいの情報量が欲しい。冊数を増やす方法はないのか。

事務局
現在のミュージアムショップを基準にしているが、今より多くの図書を置けるよう、限られたスペースの中で色々と工夫をしている。 

今中委員長
企画展示室がこれまでよりも狭くなっている。ミュージアムショップを広くすれば、企画展示室にしわ寄せがいくという問題もある。

大井委員
ミュージアムショップはもう少し大きい方が良い。情報コーナーにもショップに関しての情報を散りばめるなど、ショップにも影響力を持たせて運営するのが良い。
2階から1階の展示室出口に階段を下りて出ていく人、入館して導入展示室に向かう人、ミュージアムショップや企画展示室に行く人、それらの動線の誘導に注意が必要である。受付カウンターは、柱があってストレートに見通せない。企画展示室、ミュージアムショップも入ってすぐ認識できるよう、もうちょっと調整した方が良い。 

事務局 
ミュージアムショップは総務課の所管で、資料館から要望を言いにくい。ショップの店員も不満を持っている。彼女らは外国人にシフトした店づくりをしても良いと思っている。例えばハーシーの「ヒロシマ」は、英語版は外国人が買うので月に70~80冊売れるが、日本語版は1冊も売れない。ミュージアムショップも、ある意味でメッセージの発信源である。

大井委員
海外の美術館、博物館でも、ミュージアムショップに置かれているものを通じて、館の考え方がわかったりする。

小溝委員
ミュージアムショップについては、スペースが狭いので、情報コーナーで本の検索もできるようにするなど、関係者も含めた検討の機会を設けた方が良い。 

石丸委員 
大英博物館や故宮博物院はお土産が多い。ここでも何か記念に買って帰りたいものがあるのではないか。また、市民が書いた本でも、おもしろければ置いても良いと思う。 

事務局
担当部署と協議したい。 

今中委員長
ホワイトパノラマも含め、何かご意見があればお願いしたい。 

大澤委員
宇吹委員の言われた視点とはどういう意味か。 

宇吹委員
上から見るとか、下から見上げるといったことである。
 
大澤委員
P.6のシノプシス案で、上空150メートルから2,500メートルに上昇する視点がある。これまでは上から下への視点だった。原爆を落とす側、落とされた側とは言わないが、下から上にという考え方があるらしい。そのような視点を入れたのは何か理由があるのか。
 
丹青社
150メートルの位置で爆発させ、きのこ雲の中を通過し、上空に到達したところできのこ雲の全体像が見える形にすると、被爆した範囲の広さ、爆発の高さが表現できると考えた。
 
大澤委員
被爆70周年の今年、戦争と漫画をテーマに日本マンガ学会の大会があった。「夕凪の街 桜の国」「この世界の片隅に」の作者、こうの史代さんは、爆弾を落とす側からの視点なら飛行機から、落とされる側の視点なら下から描くとのことだった。表現として、よりわかりやすくということでこれを取り入れたのか。
 
丹青社
そういう想定のもとで制作している。絵づくりをしながら検証し、違和感があれば修正する。視点のことも含め、最大限の効果を狙い、再度提案する。
 
小溝委員
対話コーナーは、感想を話したり、意見交換をする、非常に重要な場所だと思う。普通の声で話せて、展示にも影響しないよう、音の管理を考えて欲しい。

今中委員長
大体意見が出尽くしたと思う。幾つか宿題も出たので、丹青社と事務局で詰めて、次回以降にお諮りする。
ホワイトパノラマは一応決着したかと思うが、次回は現場で見せてもらえるのか。 

【事務局】
その予定である。

今中委員長 
現場で見ると、雰囲気も出ると思う。活発なご議論をいただいた。他に意見があれば、また事務局に連絡して欲しい。事務局からビデオシアターの上映について報告する。

【事務局】
ビデオシアター映像について説明

今中委員長 
今の説明で何か質問があればお願いしたい。

静間委員 
いつ頃に完成するのか。

事務局 
来年の東館オープン時(平成28年4月)である。

水本委員 
英語版は制作するのか。

事務局 
英語と日本語のテロップが入り、手話も盛り込む。

小溝委員   
時間はないが、ちょっと見たいという人もいるので、将来的には3~4分の映像も検討してはどうか。

事務局
RCCは、日本映画社の原爆投下直後の悲惨な映像が使える。4Kへのアップグレードが行われるので、鮮明な映像で見ることができる。

水本委員
多言語化は図れないか。

事務局 
後から可能である。

坪井委員
我々委員として思いを述べながらつくっていった。業者もただの金もうけでやってはいない。文化センターは、見てくれ、感じてくれというだけでなく、少しでも示唆を与えてくれる人が必要である。来館者に色々と指導をしないといけない。せっかくここまで来たのだから、立派に仕上げるために、出先機関でその人たちが能力を発揮してもらいたい。普通の美術館、博物館とは違う。ものはできたが値打ちがない、では困る。そうならないよう頑張ってもらわないといけない。何かあればまた話し合い、この階ではどう、この階ではどう、というのが出てくるべきだと思う。

今中委員長
最後に事務局から何かあればお願いする。

【事務局】
今後のスケジュールを説明。

《閉会》