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第14回 広島平和記念資料館展示検討会議要旨

1 日時
平成25年(2013年)3月19日(火)午前10:00~12:00

2 場所
広島平和記念資料館東館地下1階 会議室(1)

3 出席委員(10名)
今中委員長、大井副委員長、水本副委員長、石丸委員、宇吹委員、大澤委員、静間委員、坪井委員、賴委員、リーパー委員

4 事務局( 9名)
平和記念資料館 前田館長、増田副館長、西本副館長、大瀬戸主任、落葉学芸員、福島学芸員
平和文化センター総務課 小松課長
市平和推進課 石田被爆体験継承担当課長、沖中技師

5 丹青社(5名)

6 議題等
議題 「展示実施設計」について

7 公開、非公開の別
公開

8 傍聴者
報道機関7社ほか1名

9 会議資料名
第14回広島平和記念資料館展示検討会議次第
「広島平和記念資料館展示実施設計業務」検討資料

※会議資料は、広島平和記念資料館学芸課(広島市中区中島町1番2号:広島平和記念資料館東館3階)でご覧いただけます。また、議事録はホームページでも公開しています。

10 会議要旨

《開会》

【事務局】
本展示検討会議の議論をふまえて、展示実施設計図書のとりまとめになることを説明。また次年度には、展示説明文執筆会議を新たに設置し、実施設計を基に、展示説明文を作成し、ある程度の分量がまとまった段階で、文案および展示資料等の変更点をあらためて展示検討会議に諮り、最終決定していくことを説明。

【丹青社】
展示実施設計について資料を基に説明。

石丸委員
展示方法が大幅に変わるが、今回の展示方法を選択した考え方について伝えることはできないか。

今中委員長
それは、入館した時に伝えるものか。

石丸委員
そうである。

今中委員長
展示方法選択の意図を簡略に紹介することは良いと思うが、各委員の意見も同様であれば、新年度からの執筆会議で検討できると思う。
 
石丸委員
1階は無料だが、入館料は有料を維持するのか。有料ゾーンへのチェックはどこで行うのか。

事務局
現状と同様に、東館の入口で警備員が行うことになる。場所は東館1階エスカレーター乗り口付近である。
 
静間委員
触れる展示は何階に配置するのか。

事務局
視覚障害者向けと考えているので別室に置きたいと考えている。また人数に応じた対応になるので、例えば会議室でおこなう場合などもあると思われる。被爆瓦などの 触れる展示は、展示室内に配置する予定である。

坪井委員
原爆は大きな問題である。きめ細かいことまで詰めて考えているのは良いが、観覧者がさっと通り抜けたらどうなるのか。原爆はこんなものかと思われてしまう。その ものずばりを表現している博物館が多い。その意図を忘れてはいけない。
被爆者が描いた絵を見ると、感情が優先し、論理的でないものもある。そういったことも考えると、今後も余韻を残した展示にしておかないといけない。
 
今中委員長
新しい館になり、核実験のデータ等、タイムリーにデータは差し替えていく必要があると考える。
精神的な意味においては、被爆者の思いを盛り込んでいくことになると思われる。
 
坪井委員
パノラマ模型に配置する施設では、軍関係の施設など沢山示す必要があると考えている。
 
事務局
パノラマ模型に予め立体物で表現する50の建物は、原爆投下後に原形をとどめている建物としている。崩壊した建物については、映像で表現する予定である。
 
大澤委員
坪井委員の意見を聞いた感想であるが、被爆者の立場からいえば、足らないところもあるかと思われるのかもしれないが、検討委員からの意見をよく取り込んでいる設計になっていると思う。
中身のことは、次年度で調整していくことになると思う。
 
リーパー委員
昨日、50代の方から「小さい時に来たときは恐ろしかった。今はきれいになりすぎて怖くない。」という話を聞いた。見学後に、素晴らしい資料館、もう一度見たいと思うようであれば失敗だと考える。二度と見たくない、恐ろしい、悪夢を見るというぐらいの館で絶対に核兵器は廃絶しないといけないと思われないといけない。
きれいになりすぎる、画面に頼りすぎているのではないかと心配している。本物が大切である。
 
今中委員長
基本計画での会議の時もきれいになったと思われたら失敗、という意見も出たと思う。また、原爆を知らない世代が増えているので系統立って説明できることも大切であるという意見も確認されていたと思う。リーパー委員の意見もふまえて調和をとっていくべきと思っている。

静間委員
ホワイトパノラマ模型への映像はこれだけになるのか。少なくないか。米軍が撮影した斜め上空からの画像も交えて紹介してはどうか。この資料だけだと廃虚のイメージが分かるだろうか。
 
坪井委員
内容は十分検討されていると思う。世界へ向けて訴えていく施設として、予算的な面でも国も巻き込んだ展開にしたいという意図である。
 
丹青社
先程の静間委員からの質問についてであるが、ホワイトパノラマ模型はできるだけ伝えたいことをシンプルにまた5分程度の滞留時間を考慮したものである。現状は外せない要素を提示したもので、大枠の構成案として示している。詳細は次年度の執筆会議で検討してもらいたい。
 
石丸委員
「被爆の実相はこんなものじゃない」という意見の人もいるし、これまでの展示は怖すぎたという人もいると思われる。そのためにも、どんな議論を行い、この展示手法を選択したかを伝える必要があると考える。
仮設展示は五分の一、十分の一になってしまうが、この規模で良いのか。例えば、まったく別の場所に仮設展示を設置することはできないのか。
 
今中委員長
仮設展示はこれまで具体的な検討はされてこなかった。用地や予算の問題もあるので事務局の考え方を聞かせてもらいたい。
 
事務局
これまでの検討の中で、仮設展示は予算的なことも含め、既存の建物の中で、相互に補いながら行うことを前提としていた。現状、他に設けることは考えていない。
 
今中委員長
それは、新たな問題や困難があることを含めてのことか。
 
事務局
予算的な問題等がある。

石丸委員
平和記念公園の中に建てられるか否かは確認する必要があるが、広島の新しい名所となるような仮設の建物を建てることはできないのか。3年程度持てばよいのだから、やろうと思えばできないことではないと考える。
 
今中委員長
この場では、意見があったことにとどめたい。
 
水本委員
我々のミッションは展示の内容であるが、オープンした時に建物全体が展示と統一のとれた空間になることが大事だと思う。エントランスロビーや休憩所、売店コーナーなどを含めて、建物の中には展示に関連しないものは配置しない、シンプルな方が望ましいと考えている。検討会議でそのような意見があったことを、事務局側でも受け止めてもらいたい。
例えば国際交流など行政の目的で設置しているものがあれば、他の担当セクションとの協議を重ね、展示目的に即したもので整理し、統一感をはかってもらいたい。
 
事務局
これまでの会議でも、建物や公園との関係性についてはご指導いただいている。また、ロビーの大型の寄贈品については、移設の場所を含めて関係課と協議中である。事務局としても水本委員と同様な考え方を持っており、調整を続けていく。
 
水本委員
売店の飲食スペースも大事と思われる。ミュージアムの目的に即した雰囲気を壊さないスペースにしてもらいたい。
 
事務局
売店については所管課が異なるが協議を継続していく。

今中委員長
現状のジオラマ人形について市や資料館へ声が寄せられている。これまでの会議で、実物の資料を重視するという中で被爆者の坪井委員の「被爆の実相はこんなもんじゃない、ジオラマはおもちゃである」という意見が決め手となり、ジオラマ人形は撤去する方向になったと記憶している。最近、話題となったのは市議会にて「資料館の入館料を50円から200円ぐらいにしてはどうか」という意見が出た折に、ジオラマのことも提示された。
基本計画の時に議論が分かれたのは、これは強烈な展示なので、「もう二度と生徒を連れて行きたくない」という引率者、子どもに見せられない母親がいること。それならば、資料館に別の通路を作り、見たくない人はここを通る通路をつくってはどうかということまで議論を深めたと記憶している。しかし結局は、坪井委員の意見の点から、ジオラマは撤去することになったと記憶しているし、議事録にもまとめられていると思う。現在、ジオラマに対する意見が寄せられていることをふまえ、あらためて、参考意見があれば聞かせて欲しい。

大井委員
検討経緯は委員長の説明どおりと記憶している。被爆者が描いた絵は、そんなに正確ではないかもしれないが、資料の展示より、被害者の人形より、東館地下にある被爆者の絵画に一番感動した人達もいる。絵に描かれているものは、記憶が薄いかもしれないが気持ちは本物であったと考える。本館は人間がテーマで実物を展示する精神で計画が進められている。
東館の1階、企画展示室、売店、エントランス等は、本委員会で取り扱うテーマではないかもしれないが、次の展示の目的に向かって最大限行うのだから、建物ばかりでなく公園も含めて取り込んで効果を上げることが求めらている。関係各所へ、声をかけ、縦割りでない仕事をぜひ行って欲しい。
 
今中委員長
ジオラマについては現状案のままで良いか。
 
大澤委員
現状案で良い。新聞を読むと、ショックを受ける人がいるからジオラマを撤去する、というふうに誤解されてしまう人もいると思われる。ショックを受けるから撤去するわけではなく、より実相に近づけるためにジオラマではなくなったのである。
どのぐらいショックを受けるか調査を資料館が行った経緯がある。細かな数字は覚えていないが、1万人に2人ぐらいだったかと思う。但し、実施設計に明記されているように、本館展示のはじめに、悲惨な写真が展示されていることを断り書きしておき、配慮することで良いと考える。
これまで通りの方針で良い。
 
今中委員長
今回の検討会議で一区切りとなる。これまでを含めて、指摘しておきたいことがあれば提示してほしい。
 
石丸委員
建築の立場から確認しておきたい。渡り廊下は拡幅することは文化庁の確認を得ているのか。また本館のソーラーパネルの取り付けはどうか。
 
平和推進課
本館の外観は、来年度から調査工事、26年度に実施設計を行う。現24年度は、耐震方法などについて議論している。本館は重要文化財であり、公園も国の名勝であることから、現在も文化庁と協議をおこなっている。渡り廊下については、重要文化財ではないが、公園に対する景観への配慮の視点から、概ね了解の感触は得ているが、今後、文化庁サイドの専門家との協議を重ねながら、具体的な手法や形状を、本館と同様のスケジュールにて進めていく予定である。渡り廊下は、28年度、29年度での整備となる。ソーラーパネルについては、今後の検討となっている。ハードルは高いものと認識しているが、自然エネルギーの活用や市としての取り組みもある。今後、文化庁とも協議を行っていく。
 
賴委員
核被害の実態と予測について、核保有国がまだまだ増える可能性もある危険性をふれておいて欲しい。福島の原発事故で、広島や長崎の経験が注目されている。チェルノブイリ原発事故を含めて、予測のところに何らか現在の情報を加えることを検討してもらいたい。

宇吹委員
ジオラマの件では、ジオラマだけが問題となっている印象を受ける。例えば土門拳の写真や被爆直後の医療活動の写真も同じような話を聞く。ジオラマ人形の問題でいえば、実物資料中心の博物館であって欲しいと思っていたが、議論を聞くうちに観覧者に説得力がなければ意味がないと感じていた。しかし出来上がってみたら、映像等が中心で、プレゼンテーション技術を駆使した展示を素直に受け取れないという意見が出てきそうな感じがする。実物資料中心の施設という一貫性を持っておくべきと考える。
 
今中委員長
ジオラマがなくても、それに代わる、それに増して、被爆の実物を中心でいくという方針がある。
 
事務局
ジオラマと実物資料についての意見に対しては、委員からの意見のとおりだと思う。宇吹委員の「映像が中心になってはいけないのでは」については、本館に関しては、一貫して実物資料によって被爆の実相を伝える構成をはかってきた。新しい展示になっても、今までより迫力が無くなった、怖くなくなったことにはならないと考えている。また、綺麗になりすぎないよう展示設計業者と共有してきた。東館は、客観的・科学的にいろいろなことを説明するために、新たな機器の導入をはかっているが、本館についてはない。

静間委員
「資料館に二度と行きたくない」という意見はジオラマだけでなく、放射線被害で亡くなった方たちの写真を怖いと感じる人も大勢いると思う。そういう写真は残っているので、事務局の説明のように、綺麗になったという印象は持たれないと考える。
 
坪井委員
広島の施設なのだから原子力を問題にすべきと考える。また原爆は数と破壊力の大きさを問題にしたい。個人の写真でもよいが、多くの人が亡くなっている姿の迫力のあるものにすべきと考える。生命と医学、放射線の問題も大きい。
 
リーパー委員
個人として、最近の修学旅行の傾向は、中学生・高校生が減ってきて小学生が増えていると感じている。衝撃的なショックを受ける資料館になって欲しいと考えている。
新しい情報も出てきている。NHKでもアメリカのHPOの番組の中でも、「原爆は戦争を早く終わらせた、というよりも、戦争は原爆を使うために延長された」というようなことも書かれている。今までどおりのストーリーではなく、今、主流となっている信頼できる情報を入れて欲しい。
展示の中で、いつでも変えられる所を設けるのはとても重要と思う。2週間前のオスロでの国際会議では、禁止条約は1~2年で出てくるんじゃないかという雰囲気があった。また、核の闇、核の飢饉、核の冬の新しい情報が出てきている。配布資料にはないが、ぜひ紹介してもらいたい。
 
事務局
昨年度までの比較では、特に中高生の減少は見受けられない。本年度はまだ集計していないので、それを見ないとわからない。
 
石丸委員
核の被害から核廃絶に向けて、のところは色々な議論があると思われる。将来的にこのコーナーを維持するためのシステムが必要になるのではないか。説得力を持った、相応の専門家が必要になるのではないか。

今中委員長
付加価値をつけて欲しい等の意見はあったが、特に、手直しをするような事柄はなかったと思う。
本日で一区切りとなる。何かあれば後刻、事務局へ連絡をしてほしい。
 
事務局
これにて実施設計をとりまとめ、広島市に提出する。実施設計を基に、新たに来年度に展示説明文執筆会議を設け、展示説明文の執筆を行いながら展示資料を確定していく。
展示整備は東館から始める。検討会議では、展示説明文執筆会議で作成された説明文と展示資料を最終的に調整していただきたい。来年度2回程度の開催を考えている。
 
平和推進課
来年度、東館の工事へ着手する。25年度はエスカレーター設置に伴う事務所移転工事に着手する予定。東館展示室は26年度以降に着手する予定。来年度は、地下1階部分をのぞいて、通常どおり見学できる予定である。
本館は、文化庁と協議を進めながら実施設計を行い、28年度、29年度をかけて耐震化等の工事、展示にかかわる内装、渡り廊下の工事を行い30年度のグランドオープンの予定である。
 
【事務局】
今後のスケジュールを説明。

《閉会》