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第10回 広島平和記念資料館展示検討会議要旨

1 日時
平成24年(2012年)2月7日(火)午前10:00~12:00

2 場所
広島平和記念資料館東館地下1階 会議室(2)

3 出席委員(10名)
今中委員長、水本副委員長、石丸委員、宇吹委員、大澤委員、神谷委員、静間委員、坪井委員、賴委員、リーパー委員

4 事務局(9名)
平和記念資料館 前田館長、増田副館長、山根副館長、大瀬戸主任、落葉学芸員、福島学芸員
市平和推進課 石田被爆体験継承担当課長、井手口主任技師
広島平和文化センター総務課 三好課長

5 丹青社(5名)

6 議題等
議題 1 「空間および展示のあり方」について
議題 2 「各機能とゾーニング案」について
報告 「放射線に関する展示を検討する専門家会議(医療関係者)」の結果について

7 公開、非公開の別
公開

8 傍聴者
報道機関3社ほか1名

9 会議資料名
第10回広島平和記念資料館展示検討会議次第
「広島平和記念資料館展示基本設計業務」検討資料
「放射線に関する展示を検討する専門家会議(医療関係者)」の結果について

※会議資料は、広島平和記念資料館学芸担当(広島市中区中島町1番2号:広島平和記
念資料館東館3階)でご覧いただけます。

10 会議の要旨

《開会》
【議題1 「空間および展示のあり方」について】

【丹青社】
「空間および展示のあり方」について、導入展示・本館展示・東館展示についてこれまでに検討された内容を踏まえ、精査した案を説明。

今中委員長
丹青社の説明に対して、御質問・御意見等あればお願いしたい。

石丸委員
「資料館からのメッセージ」が導入展示にあるが、東館を入ったところにも「東館展示の役割」のような表示が必要ではないか。本館を見終わったら見学終了と思っている人もいるかもしれない。時間がない人もいるだろう。東館をどのように見たら良いか、東館展示の役割を示すものがあっても良いと思う。あまりくどくやるのは良くないが、東館は通過しても良い、ということになってはいけない。こういう観点で見て欲しいというメッセージが必要ではないか。
また、展示全体として旅行ガイドの手法のように、「この館はこことここを見たら良い」という見どころ紹介もあるだろう。資料を全部きちんと見せることもあるだろうが、メリハリをつけ、この資料は見てほしいというものに資料番号などを付けて配置することも考えられる。
 
石丸委員
前回出されたアテンションは継続しているのか。 

丹青社
ゾーン中央部の情報検索機能にアテンションを盛り込むことを考えている。アテンションをグラフィック壁として固定化するのではなく、時代に応じてキーワードが変わったり、示すデータが変化することもある。検索の画面でキーワードやデータを示すことができる。

石丸委員
前回は、かなり目立つ場所にアテンションがあった。

丹青社
今回もアテンションの場所としては中央部に設定している。固定化しない方がうまく処理できると考える。
 
水本委員
情報検索が新しく提案されているが、原爆の開発や脅威について言えば、ほとんどの来館者は詳しく知らない。自分で疑問を持って見に来ている訳ではない。壁面の展示情報があって、そこから派生する問題を情報端末で調べるような流れが良い。展示から切り離した検索で、自由に調べてくださいといってもどんな情報を調べていいかわからない。情報検索の考え方自体は否定しないが、展示と検索端末のリンクが必要になってくる。ミュージアムで情報端末を利用したことはあるが、実際は、どれくらいの人が利用し、そこで見たものが印象に残っているか、あまりわからない。テーブル型で大勢が見られるというコンセプトも含め、提案された内容をより精査した方が良い。
 
丹青社
基本的な情報は展示で伝えないとわからない。ミュージアムに来て、展示を見る前にまず検索をすることはないだろう。展示を見てもらい、できごとを時系列で見たいとか、より深く知りたい人が情報検索を利用することになるだろう。
 
水本委員
他のミュージアムでは情報端末の利用率は高いのか。どの程度役立っているか、他のミュージアムを見て疑問に思うところもある。そのあたりの調査もした方が良いと感じる。
 
丹青社
了解した。情報の階層や情報量が膨大だと、見てもらえない情報になってしまったり、どこを探して良いかわからないという弊害が出てくる。基本的には、展示にまつわる情報に絞っていった方が、よりわかりやすい検索になる。
 
水本委員
壁面の展示情報を基本に、より詳しく検索させるのであれば、配置をもっと工夫しても良い。大型端末が良いか、小型端末が良いかも含めて検討が必要である。壁のもっと近くでも良いのではないか。

丹青社
一般的なミュージアムでは、展示のすぐ近くに情報端末を置いて情報を引き出すケースが多い。今回も検討しているが、当館の場合、見学者数が大変に多いため、資料のすぐ近くで検索させると滞留の原因になって難しい。当館ではゾーンの中央部で、動線からはずした位置の方が望ましいと考えてこの位置に配置している。

静間委員
東館1階のエスカレーターを上るところに館の設置目的があり、きのこ雲の写真が使われているが、これは決定なのか。
 
丹青社
未定である。全体の情報を検討する段階で決めることになる。現在は、あくまでもイメージである。

静間委員
このきのこ雲の航空写真は、原爆投下から少し時間が経ってから米軍が撮影したもので、きれいに写っている。実際にはもっと悲惨な写真が良い。本館の「都市の壊滅と人の被害」は、集合展示を全部ケースにいれるかどうか前回の会議では決定していなかった。今回はケースに収められているが、どうか。

丹青社
前回までの検討を踏まえ、一体感と、できるだけ身近に感じさせるという観点で検討した。ケースの向こうの世界にならないよう、床面とケース内の仕上げを同一にして一体感を出し、観覧者がケース内と同じ空間にいるように見えるよう配慮した。ガラスの存在をできるだけ消し、距離感も縮める案を提案している。

静間委員
ケースの有無については、全員一致とはならないだろう。
 
今中委員長
同一のガラスケース内に入れて集合展示を行うという会議での大きな流れを優先した案を丹青社が作成している。

静間委員
ケース内展示については、壁の向こうの世界になってしまう懸念がある。そういう意見もあることを考慮して欲しい。

今中委員長
多数決で決めるものでもないと思う。色々な視点から検討してまとめていきたいので、ご理解いただきたい。
 
石丸委員
イメージ図では、展示資料がかなり下にあり、床に置かれているのか。粗末に扱っているように見える。来館者が混雑している時に見えない。
 
丹青社
資料を床に置くことはない。低めの展示台を想定している。

石丸委員
展示台の高さが問題になると思う。
 
事務局
これまで、集合展示を露出展示とするかケース内展示とするか、それとも並立させるか議論が行われてきた。露出展示は、より近くで見られる、はっきりと見えることが利点である。都市の壊滅と人の被害が同時に起こったこと、関連して様々な事象が起こったことを、集合展示の意味性を活かして伝えたい。より近づいて見たいという、委員の方々の意見も取り入れながら事務局と丹青社で詰め、照明の当て方、床素材の同一化などにより、ガラスの遮断感がなるべく出ないように工夫し、一体感を出しながら、観覧者と資料の距離を縮めたい。資料P4に集合展示と個別展示の意味性を整理している。それを踏まえ、今回の提案に基づいて基本設計を進めたいと思う。
 
宇吹委員
10~20人の団体を案内する際、資料3ページの案だと説明しやすい。1の箇所は、複数のグループに分かれても全体を説明して、その後個別に見ることができる。

事務局
先程ご意見が出された展示ケース内の展示物の高さについては、実施設計の段階で細かい検討を行う。

静間委員
集合展示の下側にある個別展示スペースを使って、露出展示は可能である。ここもケースに入れるのか。
 
事務局、丹青社
個別展示スペースを使って露出展示は可能である。

今中委員長
東館展示については、なるべく通過させない工夫がある。検索機能は、情報が細かければ良いという訳ではない。コンパクトな展開が必要である。集合展示と個別展示では色々なご意見を頂いたが、先程の事務局からの説明にあったように、都市の壊滅と人の被害の一体感を出し、ガラスの存在を感じさせないよう展開する。

事務局
欠席委員からのご意見を紹介する。3ページ、5ページのイメージ図では上部がすべて写真となっているが下部の展示物との関係を整理する必要があるのではないか。写真が上部に多いが、写真ばかりの見せ方にならない方が良いのではないか。5ページ右下に爆心地等の写真があるが、せまい場所なので上部まで写真があるような見せ方には今後注意をして欲しい。同じ場所について、床と壁の写真の関係も注意を要する。全体に関しては、照明は融通が効くように展開すること、7ページの情報端末は展示パネルとの関係性の整理が必要。8ページのイメージ図では、上部に映像があり、下部に情報端末があるので、電気店のようにならないように留意する必要がある。 以上である。
 

【議題2 「各機能とゾーニング案」について】

【丹青社】
「各機能とゾーニング案」について、東館1階・3階・地下1階について資料を基に説明。

今中委員長
現在東館1階にあるビデオシアターは、東館3階のビデオコーナーに統合するのか。
 
丹青社
1階のビデオコーナーはそのまま継続して日英2カ国語でのソフトを上映、東館3階は被爆者証言ビデオを上映、上映ソフトが異なるので2箇所に分けて展開する予定である。
 
今中委員長
1階のビデオシアターは現在のように2つに仕切るのか。
 
事務局
これからの検討だが、現在2つあるビデオシアターを1つにする(面積が半分になる)。ヘッドフォン等により日本語ないしは英語のナレーションが聴けるよう考えている。1つの場所で多カ国語にも対応したい。
 
石丸委員
現段階の話ではないかもしれないが、セキュリティはどうするか。年末にロンドンとパリを見てのことだが、ルーブル美術館はピラミッドの所から入館するまでにチェックがあり、1時間くらい待つ。それから入館券を買うのにさらに30分くらい待たされ、1時間から2時間くらい待ってやっと入れる。エッフェル塔でも、寒い雨の降る屋外で2時間くらい待たされた。ベルサイユ宮殿でも2時間くらい待たされた。金属チェックでコイン1枚でも持っていると入館させてくれない。セキュリティの問題が起きる前に考えるか、問題が起きてから考えるかである。世界的にはセキュリティがだんだん厳しい方向になっており、空港などでもチェックは厳しい。
日本ではまだセキュリティに関する問題は起きていない。将来、資料館が標的にされることはないと思うが館の入口のあたりでチェックを行う場合、屋外にチェック用の建物などを設けて、外に行列を並ばせ、チェックをするなど、何か考えておくのか。
 
今中委員長
昨今、何か問題が起きたことはあるか。
 
事務局
意図的に何かを傷つけられたことはない。
 
今中委員長
美術館の絵画とは異なり、被爆資料の持ち出しは考えにくい。

石丸委員
入館者をチェックするかどうかである。
 
今中委員長
修学旅行生などの団体が来館した場合、チェックをするかどうかなどが生じてくると思うが、ご意見はいかがか。

坪井委員
人を信じないことになってしまう。ガードマンを増やしたら良いのか分からないが、目の前で露骨にチェックされると、どこでも感じの良いものではない。自分があちこちに行った時も、もう少し信じて欲しいと思うこともある。
しかし、火災やガス事故等の災害については、建築対策を含めてやっておられると思う。災害対策は全体で考えていかなければならない。根本として、人を信じない平和記念資料館というのは、どうかと思う。

事務局
色々な展示館を見ている中で、丹青社で厳密にチェックしている事例を知っているか。

丹青社 
常設展示で厳密なセキュリティを行っているところはないと思う。特別展などで有料・無料のチェックをすることはあるが、来館者の身の回りをチェックするものではない。安全チェックを厳しくする例は、日本では見かけない。

坪井委員
災害の対策については、建築基準法だけではだめである。その上のレベルで考えないといけない。

水本委員
アメリカやフランスではテロの問題があり、実際に起きている。日本と異なり、多国籍の民族がいる。そういった環境があって警戒していると思う。一般論として議論するよりも、日本でのそういった蓋然性が高まった時は、広島だけが狙われるのではないだろう。日本全国で危機が高まった時に判断すれば良い。現時点で蓋然性が高い訳ではない。将来そういう状況になった時に改めて対応を検討する、とこの場で確認できればと思う。
9.11のテロ以前、ワシントンのスミソニアン博物館では入口でバッグをチェックされたが、それほど長い時間かからなかった。警備を1人置いており、5~10分程度であった。テロ以降に厳重な対応をしているのは、それなりの背景がある。
セキュリティチェックをしないのは手抜きだ、という考え方には対応しなくて良いと思う。もし危険性が高まれば、館にスペースの余裕はあり、セキュリティ対応は可能だと思う。

今中委員長
資料館の場合、大人50円・小人30円であり破格の入場料といえる。たとえ無料でも良いからたくさんの人に見て欲しいという願いがある。平和の施設に、セキュリティチェックは馴染みにくいと感じる。

大澤委員
9ページのビデオコーナー(東館3階)と10ページのビデオシアター(東館1階)は、全然違う内容を考えているのか。

事務局
9ページのビデオコーナー(東館3階)は被爆者証言ビデオを上映する。ビデオブースではAさん、Bさんなどの証言ビデオを選択して見られる。ビデオコーナーでは1人の証言者のビデオを皆で観覧することを考えている。
 
大澤委員
何回も資料館に来館している人がAさんの証言ビデオを見たい場合は3階に行くのか。

事務局
そうである。

大澤委員
現在のビデオシアターでも証言ビデオを上映している。『ヒロシマ・母たちの祈り』も、何人かの証言で構成している。3階と1階の違いがわからない。
3階のレストスペースでは、証言ビデオの音が聞こえないように壁になっているのか。

事務局
音が透過しないように、何らかで遮りたい。
 
大澤委員
現在のレストスペースは、ほっとしたい時にビデオブースの音声が聞こえ、うるさくて落ち着かない。壁などで遮り、レストスペースに音が聞こえないように配慮したい。また今のレストスペースにはモニターがありNHKの60分番組を上映している。今回の案ではモニターを置かないことになる。
何人かで来館する時、3階から屋外の平和公園が見えると、ほっとできる。レストスペースは平和公園が見られる場所で良いと思う。
10ページのビデオシアター(東館1階)では、日英の他にハングルなども対応するかどうかである。何回か利用しているが、安全・防犯上の問題から1人で行くと怖い。他の人がいれば、それはそれで怖い。先程のセキュリティとはレベルが違うが、その点はどう考えるか。
 
事務局
今後の検討だが、警備の回数を増やす、防犯カメラを設置するなどの工夫ができるかと思う。
 
大澤委員
3ページにある本館ギャラリーの「感情を整理する場」と、10ページの東館1階「観覧後の心情に配慮した場」について。こういう機能を1カ所にまとめずに、2カ所に設置する考え方なのか。
 
今中委員長
性格が異なる。本館ギャラリーから平和公園や慰霊碑を見て、これが聖地だと知る。これまでの議論では、1階には情報端末を置いたり、ノートに展示を見た感想を書いたり、お茶を飲んだりして気持ちを落ち着けたところで外に出ていただく。同じものを2カ所に分けたのではない。
 
大澤委員
本館ギャラリーは、平和公園を見て、聖地であるとわかってもらうのが目的となる。1階ではノートを見たり、無料でお茶などが飲めるようにするのか。現在のレストコーナーでは飲み物を飲むことができない。
 
事務局
「観覧後の心情に配慮した場」が2つに分かれているのは、利用のされ方が異なるからである。資料館の展示を見た人は、泣きたい、心を静めたいなどの様々な感情を抱く。その場を1カ所に求めていたが、基本計画の段階で、意味性から2つに分かれた。
1つは本館の展示を見てショックを受けた人が心を落ち着け、公園を見ながら復興を感じ、内省する場と位置づけている。もう1つは、展示を見た後の自分の気持ちを人に伝えたい、人と話をしたい、という思いに応えるのが東館1階である。
途中のレストスペースは、本館を見終わって東館に移動した時に、長い観覧動線の真ん中あたりで休んでいただく場である。平和公園が見えることから、観覧後の心情に配慮した場としての意味合いも持つとは思うが、まず休憩を目的としている。
 
大澤委員
レストスペースは身体的な休憩の場という位置づけか。それぞれに機能はわかったが、それを知らないで使う人は、それぞれの使い方をしてしまうと思う。

事務局 そうなる部分はあると思う。また、お茶を飲むスペースについては未定である。展示スペース内での飲食はしない方向で考えているが、いろいろなご意見を頂いて今後詳細を検討していきたい。

宇吹委員
被爆者証言ビデオは、光が入る窓に面してビデオブースがあるが、画面の視聴に差し支えはないのか。壁の方を向かせる考え方はないのか。

丹青社
窓側、壁側のどちらでも設置は可能である。窓が北向きで直射日光はなく、逆光の状態で視聴することはない。細長い通路的な空間になるので、壁へ向くよりも窓へ向くようにして公園の景観が見えた方が開放感が感じられるという考えで配置している。
 
今中委員長
現在の展示では、ビデオブースの仕切りはあるが、更新後のビデオコーナーの仕切りはどうなるか。
 
丹青社
遮蔽しない予定である。
 
今中委員長
先程、音の問題について意見が出た。現在の状態でクレームはあるか。
 
事務局
特に出ていない。同じ音声ボリュームでも、人が多い時は小さく聞こえるし、少ない時には大きく聞こえる。混雑の度合いよって異なる。
 
静間委員
ビデオコーナーがトイレの前にあるが、トイレ前をかなりの人数が通過することになる。レストスペースとビデオコーナーを入れ替えても良いのではないか。
 
今中委員長
レストスペースの位置については、これまでの検討の過程で平和公園が見られる場所とした経緯がある。
 
静間委員
本館ギャラリーで公園が見えるので、レストスペースで公園を見せる必要はないのでは。トイレの前はレストスペースの方が良いのではないかと思う。
 
今中委員長
レストスペースでも公園側が見えるように配慮した計画であった。事務局の意見はいかがか。
 
事務局
運営面での状況もあるだろう。ビデオコーナーとして設置したが休憩にしか使われないなど、今後の状況による。映像もレストスペースも、どちらも移動可能である。現状はこの配置で良いと考えているが、今後の状況によって可変させる。固定的には考えないようにしたい。
静間委員が言われるのは、トイレの出入りが見えないような配慮が必要ではないか、という点であれば施設整備で調整したい。

静間委員
ビデオコーナーのすぐ横にビデオブースがあれば、証言ビデオを見たい人にとってわかりやすい。現在の案では、案内図を持っていないと奥にビデオブースがあることがわからない。ビデオコーナーを案のような位置にするなら、画面を壁側に変えれば、トイレを出入りする人もさほど気にならないと思う。
 
大澤委員
レストスペースでも公園側が見られる方が良いという考え方もあるだろう。現在のビデオブースは3~4人座れる。ビデオを見ずに、そこで休憩している人もおり、観覧者は色々な使い方をする。トイレの位置を考えると、ビデオコーナーの画面は壁側に付けても良いと思う。
 
事務局
トイレの出入りがなるべく見えないよう配慮する。
 
水本委員
本館のトイレは現状のままか。
 
事務局
そうである。
 
水本委員
内容の話になるが、東館3階のビデオコーナー、ビデオブース、東館1階のビデオシアターの利用率を高める方法を整理した方が良いのではないか。東館1階のビデオシアターは怖いという話もあった。言い換えると、誰も入っていない状態である。
コンテンツ面だが、被爆証言の見せ方をカテゴリー分けしてあれば利用しやすいのではないか。
 
今中委員長
東館1階のビデオシアターはストーリー性のあるもの、東館3階の被爆者証言ビデオは個人別で上映している。性格分けをしっかりする必要がある。ビデオシアターの安全・防犯面については、現在、シアター入口は開口されており、完全に遮蔽していない。シアターの性格上、場内を暗くする必要があり、明るい空間にすることは難しい。
 
水本委員
シアターの上映ソフトは、資料館のものに限られるのか。他機関と連携して別のソフトを見せることは考えているか。
 
事務局
著作権の面もあり、今は館が所蔵するソフトを考えている。
 
今中委員長
上映ソフトの拡大について、今後検討して良いと思う。
 
水本委員
今回の提案には含まれていないが、東館1階カフェスペースは現状のままか。なんらかの改善をしたほうが良い。
 
事務局
現在の無料休憩所のスペースや大邱の太鼓のスペースについては、関係部署と協議している。大邱の太鼓については、現状では移設先の場所がなく、移動が難しい。
 
今中委員長
現状の無料休憩所のレストラン機能と臨時派出所は残す予定か。
 
事務局
その方向である。現在までの経緯があり、移設は難しい状況である。
 
水本委員
レストランやカフェの機能は、柔軟なスペースで良いと思うが、何かスマートにできるのか。
 
事務局
そこを整理する余地はある。
 
水本委員
ミュージアムショップの面積は、現在と同程度か。
 
丹青社
少し広くなる。
 
水本委員
書籍類はもっと見やすくした方が良い。そこを含めて効率的な展開になればと思う。
 
石丸委員
細かい点は色々あるが。展示の終わり方はこれでいいのか。階段から下りてきた時のことはあまり考えてないように思う。どういう終わり方が良いのか。
「観覧後の心情に配慮した場」は、吹き抜けの上からのぞき込まれるかたちで構わないのか。企画展示からの帰りなど、いろいろ配慮した方が良い。
現在のミュージアムショップは狭い。もっと充実して、平和研究をする人が広島に行ったら資料がたくさんある、というくらいになればと思う。
 
今中委員長
「観覧後の心情に配慮した場」は、上から見えるのか。

事務局
見える。現在原爆ドームの模型展示があるスペースで、吹き抜けになる。

石丸委員
現状の本館を下りていく雰囲気は悪くないと思う。見学の終わり方を考えた方が良い。今の案では、あまりにも素っ気ない。
 
事務局
石丸委員が言われていることは東館1階であるが、案では東館2階「平和への取組」でまず締めくくり、最後に「観覧後の心情に配慮した場」へ至ると考えている。
 
石丸委員
新たに付加することは無理であろうから、単に階段を下りるだけか。
 
坪井委員
基本設計の検討も終わりに近づいているが、私が被爆者としてずっと感じていることは、原爆は他の空襲とは異なる。一発で、一瞬で壊滅する。被害が非常に大きい。人に対して長期に渡って被害が続く。人に対する問題・影響を相当に入れているので合格点ではある。広島の資料館であるから、そこにはどうしても触れたい。ただ、一発で惨劇が起こったことは今の展示で伝わってこない。
放射線の部分は、この程度ではいけない。最も大事なところだと思う。今日、案を聞いて満足したい。
 
今中委員長
議題2について、欠席の大井委員から何か意見は出ているか。
 
事務局
議題2に関しては特にない。
 
今中委員長
色々な提案が出された。セキュリティについては将来的に危機性が生じた時点で対応することで良いか。ビデオコーナーとビデオシアターは機能を明確に分ける。現状のミュージアムショップが狭い点については、面積の拡大が図れないようであれば来館者が商品をもっと見やすくするなどの配慮が必要である。現在案以上の面積を確保するのは困難であろう。
 
宇吹委員
博物館について大学で学生とディスカッションすると、来館者にとって、その印象も含めてミュージアムショップは結構大事であるということになる。先程、売店の話が出た。世界に名が知れたミュージアムで、このような状態でいいのか、という思いがある。休める場所と、色々な土産が入手できる工夫はないか。
地下の、現在原爆の絵を展示しているスペースが会議室(2)となっているが、絵は様々に利用していくのか。貸し出しなど、対外的に館が絵を所蔵していることを示す場があって良い。情報資料室にそういう機能を持たせるならそれでも良い。
展示室(4)の場所は、現在の新着資料を展示しているスペースであり、大きな役割を果たしていると思う。展示室(4)は、新着資料を展示することに限定するのか。
 
事務局
展示室(4)を使って、絵や新着資料を展示することは可能である。詳細はまだ詰めていない。事務所機能を地下1階に移転する予定である。現在の会議室は事務所になる。会議室の利用の多くは被爆体験証言を開催している。その機能を絶やすことはできないので、現状の展示室(3)にその機能を継続させたい。

宇吹委員
今の情報資料室の場所は、かなり奥まっている。強い目的意識を持たないと、なかなか入らない。企画展示室は1階になって入りやすいと思う。情報資料室が奥のままでは、使い勝手が悪いのではないか。展示では情報化に対応した展開となっているが、情報資料室も充実させる観点からいくと、展示室(4)の場所に情報資料室を置くか。展示室(4)、資料収納室、情報資料室のすべてが情報機能を持つかたちに変わっていけば良いのではないか。今後10年、20年を見据えると、情報機能の役割が大きくなっていくと思う。資料館のデータベースを様々なかたちで利用しているが、その発信基地になるのだから。本館では実物を見てもらうのが中心で、簡単な情報機能があればいい。検索して、深めて見るのは情報資料室である。奥行きのある情報体系がある、となれば良いと思う。
 
今中委員長
展示室(4)は、情報資料室にした方が良いというご意見であるか、事務局はいかがか。

事務局
原爆の絵と、新着資料を展示するスペースをどこかに確保する必要がある。3つのスペースの中で、どのような展開ができるか、もう一度考える必要がある。資料収納室は二階建てで造り付けでもあるので、壁が撤去できるかという課題もある。検討したが移設しにくい面があり、現案となっている。
 
宇吹委員
広島で育った団塊の世代などのボランティア等に、研究・資料について色々と協力をしてもらえる面がある。情報発信のための基本的な資料整備やパソコン入力など、この場でできれば良いと思う。
 
今中委員長
情報資料室を充実すれば利用者が増えることも考えられる。展示室を1つ減らすか、情報資料室を拡充するか二者択一ではないが、情報資料室の要望が多いのか。
 
宇吹委員
情報資料室を上位に位置づけるということである。収蔵機能、新着資料、原爆の絵の展示機能を含めば良い。

今中委員長
現在の情報資料室は広くないので、資料でぎっしりである。
 
宇吹委員
作業をする場と、資料を閲覧する場が一緒だと、ここでじっくり研究をすることへの対応がなかなか難しい。本来なら追悼平和祈念館が研究機能を持つかと思っていたが、この館の情報資料室が充実していると思う。資料の中に一歩踏み込むような機能が欲しい。
 
事務局
以前から、奥まっている情報資料室を何とかしたいと考えてきたが物理的な制約があり、情報機能の一部を東館1階「観覧後の心情に配慮した場」に持たせる程度になっている。 

石丸委員
バリアフリーのルートが分かるように図示して欲しい。
 
丹青社
了解した。
 
今中委員長
多様なご意見が出た。情報資料室の機能を拡充すれば、一方で展示室が減ることがネックとなる。情報資料室をどこかに移設することを考えると、全体計画の根本から変わってしまう。これは保留したい。バリアフリーの対応は図示する。
続いて、放射線に関する展示について報告していただきたい。
 

【報告 「放射線に関する展示を検討する専門家会議(医療関係者)」の結果について】

【事務局】
資料を基に会議の結果について報告

神谷委員
先程、坪井委員からのご指摘があったが、原爆の影響は一瞬で全て決まってしまう。要素は3つあり、熱風、爆風、放射線である。物理的な破壊に関しては比較的伝えやすいが、人に与える障害については一瞬で全て決まることがなかなか伝えにくい。まず急性障害が起こるが、今の資料だけでは急性障害の現れ方がなかなか上手く伝えられていないと思う。急性障害を伝えるためには、被爆した放射線の量に従い、症状が現れる過程が、時間的に変わっていく。そういうことが少しでもわかるような資料と共に、急性障害が現れるメカニズムを、難しい話ではなく一般の人にも分かる原理と一緒に伝える必要がある。専門家の意見としてこの点が確認された。
晩発障害で一番大きい問題は癌である。佐々木禎子さんの資料は非常に分かりやすい展示だが、(症例が)一つしかない。癌そのものを展示しても、一般の癌と区別ができないので、一般の人にはわかりにくい。もう少し具体的な後障害の概要を展示できないかという議論が行われた。後障害は被爆後65年が経過してもまだ生じるのだということが、大きな点である。そういうことをきちんと伝える必要がある。
 
今中委員長
放射線障害について著名な方々に検討していただいた内容がこの資料に示されている。展示検討会議でも、放射線の展示が弱いのではないかという意見が出ている。福島第一原発の放射能の問題が起こり、もっと核被害に触れようということから皆様にご検討いただいた。内容を簡潔に、可能な限り活かしていきたい。
 
石丸委員
放射線のことを知らない人が関心を持った場合、どういう答え方をしたらいいか、という観点である。「被爆」と「被曝」の違い、内部被爆と外部被爆の違いなど、そういう初歩から対応して欲しい。一度、企画展示でできる限りの放射線の展示を行い、それをコンパクトにしたらどうか。どの程度のことがわかっており、どういう情報が示せるか、企画展示で思い切りやってみてはどうか。どういうことを展示したいのか、という問いを投げかけたい。
 
今中委員長
その他のご意見はいかがか。
 
水本委員
石丸委員が言われたように、放射線の危険性を展示する時、広島には原爆に伴う危険性についてのデータが色々とあるのでそれを展示する。東館の最後のところに、軍事利用だけではなく、核の民生利用でも危険が起きていることを織り込んでも良いのではないか。今起きている核問題についても何らかのかたちで触れた方が良いのではないか。
館からのメッセージや施設目的に関わるが、今回の展示更新で核兵器の非人道性を打ち出す方向である。国際社会の一部から出る意見として、「核兵器の非人道性もあるが、日本の戦争の非人道性や植民地支配の非人道性になぜ触れないのか」という反応が必ず出るだろう。本来、核兵器の非人道性にスポットを当てていると言っても、国際社会にはそれだけでは納得しない人も多い。最低限、誤解を招かないようなメッセージをコンパクトに入れることも検討した方が良い。
 
リーパー委員
そういうメッセージは必要である。外国人が見て、広島の被害意識が強すぎるとか、戦争についてどう考えているか、なぜこういう展示かなど、そういうことについて何か言わないといけない。
もう一つ、核の闇、核の冬について何らか触れる必要があると思う。最近2~3年前から新しい研究が出てきて、数が少なくても大きな爆弾があれば核の闇になり、10億人が死ぬと言われている。人類の運命はそれで絶たれる。そういうことを伝えれば、どの国の人も核に関心を持つ。インドとパキスタンが戦争をしたら、広島でも農作物が作れない状態が生じる。核による戦争抑止論に対する反論が、核の闇、核の冬になってきている。それを入れるべきではないか。
立派な資料館になりそうだが、あまりにも立派だとリアリティはどうなるかである。心配されるのは、50代の人からよく聞く話だが、「昔は資料館を見たら1週間くらい気分が悪かったが、今はそうならないだろう」とか「生々しさがなくなってきた」という点がある。コンピューターゲームや映画のような別世界に入った印象を与えないように努力すべきである。今の中学生達はコンピューターゲームの中で毎日たくさんの人を殺している。それは画面の中の世界である。広島でのできごとは画面の中の世界ではなく、生々しい、本当にあったことだと伝えなければいけない。世界で、広島が原爆で壊滅したことを知らない人はほとんどいない。皆、ある程度わかっている。問題は、信じていないし、本当のことだと心で受け止めていないこと。この資料館で、これは本当にあったんだ、人間が本当にこんなことになった、街が本当になくなったという事実を、かけがえのない生々しさ、あるいはリアリティのある展示で伝えなければと思う。
整備費が高そうな施設に見える。日本のようなお金持ちの国はこれからだんだん生活水準が下がると思う。いつお金がなくなるかわからないが、平和のための資料館なのだから割と質素に。あまり豪華や贅沢でないこと。贅沢なスペースの使い方や、贅沢な機能は、本当に生活に苦しんでいる周囲の人からの印象はどうなのかと思う。
 
今中委員長
リーパー委員が言われるように、生の資料が最善であろう。ただし、一連の議論の中で、生の資料を保存・保全していく立場がある。一部はコンピューター機能で代替することになる。気持ちとしては65年前の状態をそのまま見せたいが、実際には難しいところもある。
原爆投下の因果関係については色々な意見がある。我々の会議としては、原爆の悲惨さ、核障害の怖さ、という原点を第一義に考えていく。解説で微妙な点に触れるとそれで論争になったり、自分はそう思わないという人も出てくるだろう。展示検討委員会の基本精神は、被爆の惨状と、戦争を二度と起こしてはならない、ということがなるべくストレートに観覧者に伝わることである。
閉会時間となったが、お気づきの点があれば追ってご連絡頂きたい。
 
【事務局】
今後のスケジュールを説明

《閉会》