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第21回 広島平和記念資料館展示検討会議要旨

1 日時

平成29年(2017年)7月26日(水)午後2:00~3:30

 

2 場所

広島平和記念資料館東館地下1階会議室(1)

 

3 出席委員(9名)

今中委員長、大井副委員長、水本副委員長、石丸委員、宇吹委員、大澤委員、静間委員、賴委員、小溝委員

 

4 事務局(13名)

平和記念資料館 志賀館長、加藤副館長、諏訪副館長、宇多田課長補佐、落葉学芸員、

福島学芸員、土肥学芸員、小山学芸員

平和文化センター総務課 清川参事

市平和推進課  中川被爆体験継承担当課長、村上主幹、柴田主査、重田技師

 

5 丹青社(6名)

 

6 議題等

本館展示について

 

7 公開、非公開の別

公開

 

8 会議要旨

 

《開会》

 

【丹青社】

  本館展示について平面図・立面図・CGパース・ウォークスルー動画を用いて説明

 

今中委員長

丹青社から本館展示の説明を受けた。委員の皆さんからご質問、ご意見を伺いたい。

 

石丸委員

事務局にお願いだが、今までの更新の計画の議事録を配付していただくことはできないか。大まかな流れをつかみ、私自身の発言の検証をやってみたい。

 

事務局

更新計画と基本計画、展示検討会議の議事録を委員の皆さんにお配りすることを検討したい。

 

石丸委員

最初が絵というのは、ちょっと違和感がある。ちょっとつくられた感じ、怖いだろうという感じがある。松重さんの写真のほうがいいのではないか。

もうちょっと爆風の被害のコーナーがあってもいいと思う。例えばガラス片が体内に刺さったとか。
黒い雨は、もうちょっと後のほうがよいのではないか。

日常生活の破壊という観点、地域コミュニティー、文化、伝統の破壊という観点を少しでも入れてもらえると、将来的に平和公園の中の発掘とのつながりもつくれるのではないか。

 

宇吹委員

本館は遺品が中心だと理解していた。非常にストーリー性を持って、わかりやすくはなっていると思うが、前の平和記念館にあった資料が随分本館に進出してきているという印象である。

 

静間委員

絵が随分多いという印象。最初のエントランスの正面にこの絵があるというのは、人形を撤去して、そのかわりに持ってきたような感じがする。特に松重さんの写真に限らず、何か訴えるような写真があったほうがいいのではないか。
②の原爆投下のところも最初が絵だが、ここは写真がないかもしれないが、この絵もちょっと違和感がある。
人への被害(集合展示)の資料は、動員学徒に縛られる必要はないのではないか。
都市への被害の混沌とした状態をあらわすと言われたが、これだと整然と並んでいるようにしか見えないので、もうちょっと工夫が要るのではないか。
黒い雨のところは壁と絵があるが、衣類に黒いしみがはっきり見える資料があるので、そういうものも展示したらよいのではないか。

 

水本委員

冒頭の写真か絵かの議論だが、今回の展示の骨子は実証性を重視すること。この絵は特定の場所の記憶をもとに描いているので、実証性がないわけではない。松重さんの写真は、あまりにも情景が悲惨で撮影時に抑制された写真しかない。写真だけでなくても、効果的かつ実証性のある絵であればうまくいくのではないか。

また、大型資料展示と人への被害の集合展示におけるコンセプトは非常に良いと思うが、大型資料が当時あった場所が点在しているので、爆心地から何キロの地点かなど、データをつけて展示することを検討していただきたい。

 

大井委員

基本的な東館と本館の使い方で、本館はあくまでも実物そのものを展示する趣旨だということをもう一回整理して、骨格として来館者にわかるようにしたほうがいい。
絵の扱いに関して、被爆者が高齢でお亡くなりになる中、唯一の気持ちの入った表現である。被爆者の気持ちを直接残せるもので、十分効果があると思う。ただ、セレクト、扱い方に関しては再考したほうがいい。

一番初めの人の絵は随分大きくなる。これだけ大きくすると、絵としての効果が弱まる可能性がある。十分効果を検証されたほうがいい。

 

石丸委員

東館を開館してからの反応をまとめたものがあるが、批判的な意見はないか。

 

事務局

まだまとめていないが、致命的なご批判は賜っていない。ただ、細かな部分でいろいろ我々の不手際がある。

おわかりいただけるだろうと我々が想定した「リトル・ボーイ」と「ファット・マン」の8分の1の模型が、実物はこんなに小さかったのかと誤解を受けた。

 

石丸委員

それは本館とは連動しない意見か。知っておいたほうがいいことはないか。

 

事務局

連動していない。

 

石丸委員

デジタル化路線を批判する人はいないか。

 

事務局

メディアテーブル、検索のシステムなどはある。
パノラマはいろんな批判ができる要素があるが、そこに対する批判はまだ届いていない。おおむねわかりやすいと好評である。

また、冒頭の絵の問題で、廊下のありようがどうなるのか、まだ全然検討が進んでいない。廊下の拡幅によってどう見えるのか、情景がまだ具体的でない。国際会議場の渡り廊下のバランスがあるので、デザインはそんなにわがままは言えない。

 

大井委員

8ページ右下の「混乱の中の救援・救護活動」で、上の写真と下の絵という組み合わせは、実際に写されたものと、それを見て感じて描かれたものというところで、効果がある。今、東館1階仮設展示に展示されている子どもの絵は少し分かりにくい。扱い方と展示の方法で、いい絵でもよく見えなくなる場合もある。絵を扱うことは反対ではないが、扱い方で逆効果になることもあるので、最大限の注意をしてほしい。

 

小溝委員

絵がメインになると、原爆被害を信じない外国人等がしょせん作り物として片付けるおそれがある。最初の導入部の絵は、実物展示主体とのコンセプトからすると絵ではなく写真又は実際の物のほうがよい。原爆の絵は当事者の実体験を記録したものとして重要だが、展示の仕方には工夫が必要。例えば、8ページの上の高熱火災の写真と絵は、同じ場面の写真を絵で補う形なので、事実に即して当事者の実感を加味するものとして極めて意味がある。「はだしのゲン」は、臨場感を持って描かれているが、事実を誇張した漫画だと批判する人々が現に存在する。そうなってはいけないので、絵の価値と意義を明確にした上で、原爆の絵だけのコーナーで見せるなど、貴重なものなのでよく工夫したほうがよい。

3ページの下の写真で、下から撮った原子雲に意味はあるが、こんなにスペースを割く価値はない。実際の被害を示すもっと貴重なものがたくさんあるので、そういうもので空間を埋めたほうがよい。

日本の家屋は木と紙でできているとはいえ、ガラス窓は一般的に使われていたためガラス破片の被害を示す展示も貴重。現在の本館展示では、たんすに刺さった痕跡しかなくて、よく説明しないとわからない。ガラスでどれほど被害があったのかがわかる実物展示としては、前に東館にあったものがものすごく分かりやすかった。これについては、技術的にできるなら本館展示にぜひ入れたほうがいい。

 

事務局

小溝委員の今のご発言は、東館1階にあった広島赤十字病院(現広島赤十字・原爆病院)の壁のこと。2枚ほぼ同じものを保管している。本館に運び込めるか検討してみるが、重量があるので不可能であれば、東館のどこかに展示するという選択肢も検討している。

 

小溝委員

東館の導入展示のどこかに置いてもいい。あれは貴重で実感がある。「はだしのゲン」に出てくる体の全面にガラス破片が刺さった人々の絵が本当なのだ納得できる資料。

 

事務局

壁の一部を切れば置くことができる。

 

石丸委員

これからのいろんな展開を考えたら、切ってもいいのではないか。

 

水本委員

絵について補足だが、絵の中に作者が綴った文章が書かれている場合がある。そういう絵に付随した文字情報というのは絵とセットでぜひ活用していただければと思う。

 

石丸委員

絵については、この絵は何だという質問が出てきそうだ。丁寧に説明することを考えるならば、この場所でなく、もうちょっと余裕のあるところがよさそうだ。

 

大井委員

3ページの設計時の御幸橋の写真と被爆者の絵は、渡り廊下の一番向こうに本館を象徴する見え方としては、確かに御幸橋だと弱い気もする。この絵は本館の内容を象徴するインパクトがあったので使われたのだろうが、これで無ければ何か分かるものがあるのか。これは展示部門の設計上すごく重要な話になる。

 

水本委員

写真は著作権の問題でトリミングができないのかどうか。できればトリミングするなどして人物を拡大して使うなど、効果的な方法もあり得るのではないか。常に全体を使わないで、部分的に拡大して使う方法があるなら、それも検討していただきたい。

 

事務局

撮影者がしっかりしたものであれば、なかなかトリミングは難しいものがあるかもしれないが、写真によっては可能なものもある。

 

水本委員

人物に絞ればもっと迫力がある。そういうことはされないのか、検討していただきたい。

 

事務局

もう1つ我々が議論するときに頭をよぎったものは、本質的ではないが、あの場は滞留の観点から立ちどまっていただきたくない場所であること。廊下が混雑する。一見して認識できる図柄が好ましいかもしれない。

 

大井委員

いずれにしても3ページの御幸橋の写真と絵の部分は、相当考えてやったほうがいい。いろんな資料がいっぱいある中でこれが生き残っているというのは、数少ないだろう。どちらにしても何か工夫が要る。

 

静間委員

7ページの大型資料で、瓦の表面が溶けているとか、熱線の影響といったものが見当たらない。そういうものもどこかに入っていたほうがよい。

エントランスの絵は、8時15分で止まった時計の写真なども参考にされたらどうか。

 

今中委員長

今までのご意見に事務局から説明しておきたいことがあれば、お願いしたい。

 

事務局

黒い雨の部分は、今の計画でも衣服の展示を候補として挙げている。

 

大澤委員

一見したときに本館を象徴するものが、絵にするのか、写真にするのか、実物にするのかということは、特にどれでもいいということなのか。

 

今中委員長

これまでの検討でも出たが、ぱっと見て立ちどまらずに入っていくところで、瞬間的に見るのに、松重さんの写真がいいのか、絵のほうがいいのか。ほかはちょっと思い当たらないが、ほかにあるか。

 

大澤委員

その中で今、一番これが選ばれているということか。

 

賴委員

皆さんのご意見と類似だが、この絵はどうも感心しない。松重さんの写真で十分分かると思う。

黒い雨のところで、黒い雨の範囲もわかるようにしたらいいのではないか。

 

石丸委員

我々の役割はどこにあるのかということと、解説をチェックする権限はないのか。

 

今中委員長

字句の修正そのものは時間があるが、どこかの時点で、解説の用語の使い方とか、小・中学生にも分かるかどうかというのを総括していったほうがいいと思う。

 

石丸委員

我々の役割を示しておいてほしい。

 

今中委員長

常用漢字の違いなどもあるし、小・中学生にはわからないようなものをチェックしていきたいと思っている。

 

石丸委員

ギャラリーの案は後から来るのか。

 

事務局

また新たに、次の機会で諮りたい。

 

今中委員長

本館の基本的なコンセプトに少しもとるのではないかという指摘は、きちんと押さえておかなければいけない。本館はまさに実物・実態そのものだと思う。それに沿ったものかどうかという意見もたくさん出た。

本館に入る人が最初に目にするシーンで、松重さんの写真がいいのか、被爆者の絵がいいのか、これももうちょっとしっかり詰めたほうがいいと思う。

被爆者の絵についてかなり意見が出たので、それはまた被爆者の絵としてどこかに集約するのか。

松重さんのほうがふさわしいのではないかと思うが、これはもう一遍詰めて、次回お諮りして、多数の皆さんの意見に従えばいいと思う。

個々にいろいろな指摘があったが、技術的なことも含めて丹青社と詰めながら、次回答えてまいりたい。個々の意見は、集約して整合性をとって、事務局にお願いしたいと思う。

特にこの点だけはということがあれば、ご指摘いただきたい。

 

賴委員

9ページの写真(放射線による被害)の方は、名前などはわかるのか。そういうことも説明の中に加える必要があるのではないか。

 

今中委員長

今まで絵に描かれた人物などは、特定はしていないのか。例えば9ページの右側の顔だけが出ている方も、被爆者として特定された方ではないのか。

 

事務局

陸軍病院で治療を受けた方なので、名前はある程度特定できているものもあるが、名前は出さない。

 

今中委員長

ご親族や関係者が問題にするようなものではないと思う。

 

事務局

賴先生のおっしゃられた顔に斑点ができている男性は、名前はわかるが、外に出していない。この写真を撮られた晩に亡くなられている。

 

宇吹委員

要は、医学資料あるいは研究資料として撮影された。資料がアメリカから返還された当時、人権上どうなのか、さまざまな意見があり、結論としては写真の管理委員会で悲惨な写真は公開すべきでないという結論になった。今の国際的な常識でそのようなものの配慮があるのかどうか。例えばアウシュビッツなど。

 

石丸委員

神谷先生はおられないが、後障害という言葉は今回、表に出るのか。
建築的な話として、途中で気分が悪くなった人は、ギャラリーのほうに抜けられる

仕組みになっているのか、引き返す形になっているのか、考えておられるか。

 

事務局

タイトルに出すかはわからないが、2ページの「原爆の傷を抱えて」というコーナーでは原爆の後障害、ケロイドなどを説明するので、言葉は出てくる。

 

石丸委員

扉はギャラリー側に開くのか。

 

事務局

鍵は通常かかっていないので、緊急の時はドアを開けてギャラリーへ出られる。

 

石丸委員

そういうこともちゃんと考慮しておいたほうがいい。

 

事務局

3カ所ギャラリー側に抜けられる。

 

石丸委員

係員がいないとだめなのか。

 

事務局

いないと分からないだろうから、そうなる。

 

宇吹委員

「被爆の実相」という言い方にこだわりを持つ人がいる。仏教用語で、どれだけの普遍性を持つのか、自分は一切使わないという意見を最近聞いた。私自身違和感はないが。

 

事務局

おっしゃるとおり、仏教に語源があろうと思う。使わざるを得ないのは、当館設立の根拠になっている広島平和記念資料館条例の冒頭に、被爆の実相を伝えるためにこの館をつくったというのが出てくるため。

 

今中委員長

2ぺージにあるレストスペースはソファなのか。

 

事務局

ここはこれから計画する。

 

大井委員

先ほど文化の破壊という話が出た。今、レストスペースの場所に、ちょうど慰霊碑に向かって正面の壁面に、縦長の銅板でできた中島町の町内図ができているが、あれはどういうことであそこに贈られたのか。民家、生活の破壊も含めて、ちゃんと案内板をつくって残すのか、あるいはあまり意味はないものなのか、整理されておいたほうがいい。

 

今中委員長

それでは、少し予定の時刻よりも早いが、本日の会議を終了する。
今回の会議要旨は事務局にまとめてもらい、ホームページに掲載する。
次回の検討会議は事務局と調整する。

 

【事務局】

今後の予定について説明

 

《閉会》