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第2回 広島平和記念資料館展示検討会議要旨

1 日時
平成22年(2010年)9月27日(月)14:00~16:00

2 場所
国際会議場3階研修室(2)

3 出席委員(9名)
今中委員長、大井副委員長、水本副委員長、石丸委員、大澤委員、神谷委員、静間委員、坪井委員、賴委員

4 事務局(9名)
平和記念資料館 前田館長、杉浦副館長、山根副館長、大瀬戸主任、平田主査、落葉学芸員、和田主事
平和文化センター 三好総務課長
市平和推進課 井手口主任技師

5 議題等
(1) 本館展示構成について
(2) 本館展示手法、展示資料の課題の整理

6 公開、非公開の別
公開

7 傍聴者
報道機関5社ほか1名

8 会議資料名
第2回広島平和記念資料館展示検討会議資料次第
資料1 本館展示構成について
資料2 展示ゾーニング
資料3 展示手法、展示資料の課題の整理

※会議資料は、広島平和記念資料館学芸担当(広島市中区中島町1番2号:広島平和記
念資料館東館3階)でご覧いただけます。

9 会議の要旨

《開会》

【議題(1) 本館展示構成についての説明】
【事務局】
本館展示構成について、資料1~2により説明。


今中委員長
現状の本館展示及び更新後の「本館展示構成について」の事務局の説明に対して、御質問・御意見等あればお願いしたい。

石丸委員
個別、具体論は色々あると思うが、本館の「導入部」の扱いをまず一番気をつけなければならない。どのような展示資料を使用するかという議論の前に、どのような雰囲気・イメージにするかというコンセプトが必要である。どのようなコンセプトで構成するかをこの検討会議で徹底的に議論するべきである。現在、事務局で考えているコンセプトはあるのか。

事務局
東館3階の「導入展示」のことか。

石丸委員
「導入展示」ではなく、本館の最初に入った部分をどうするかである。この部分のコンセプトによって印象が大きく変わると思われる。

大井委員
石丸委員指摘の「導入部分」は重要だと考える。渡り廊下から本館を見た正面に、現在は原爆のきのこ雲の写真を使用している。この部分は本館に入る際に一番最初に目に入る部分であるため、この部分と導入部分、通路付近の表現は非常に重要である。本館に入るとすぐに、トイレや階段のスペースがあり、広い場所を確保することは難しい。スペースは狭いが、通路部分、正面の壁面の空間の表現が重要になってくる。
本館の展示構成において、今回、コンセプト自体を大きく変えている。基本的には人間の視点、人間中心の展示という大きなコンセプトでの見せ方を強固にし、しっかり来館者に伝えられるような展示空間及び展示内容を検討しなければならない。
現状は、平成3年のリニューアル時の新聞記事にもあるように、「作り物のようだ」という声もある。本館に入ってすぐジオラマというのは問題がある。現状で言えば、導入部分に近いため、今後どのような空間にするか、またパノラマ付近も今後どうするか検討する必要がある。

水本委員
現状ではきのこ雲の写真があり、細い通路を経て右手に三体の人形がある。改装当時も人体被害の部分が中心だったと思われる。人間の被害をコンセプトの中心とするのであれば、人形で表現している部分をどうするか。
展示項目の「都市の壊滅」と「人の被害」の順序を再検討してもよいのではないか。また、「都市の壊滅」の展示概要で県庁や市役所の破壊とあるが、行政の視点で書かれているという印象をぬぐえない。地域社会全体の破壊を示した方が良い。
やはり、人間の被害が先に来るべきである。現状よりも人間の被害についてより生々しく見せるにはどうすればよいかが鍵になる。この部分が本館の導入にあたると考える。

 

石丸委員
ゾーニングをして更に細かいコンセプトを設定する作業が必要である。人の被害がメインのテーマになるのであれば、そこに至る背景として、広島が被爆したということを遠景、中景、近景とスケールを変えて次第に人の視点に近付いていく手法や筋道立ての作業をする必要があると考える。

 

静間委員
パノラマ模型やジオラマ模型を撤去するのであれば、導入部分は重要になってくるため、代替展示についてしっかり議論をして進めていく必要がある。
展示項目の「都市の壊滅」、「人の被害」の順序を逆にした方が良いという指摘に賛同する。また、「救援・救護」と「放射線」の展示の順序は現在の展示と逆になっている。「放射線」は5番目で別扱いとなっているが、原爆を時間的に考えると、まず放射線が放出され、そして熱線、爆風と続く。放射線を別扱いするのでなく「人の被害」と一緒にできないか。

 

神谷委員
人の被害を全面的に出すべき。現在の人の被害に関する展示において、放射線障害に関する資料が少ない。原爆の被害の根源、原爆の原爆たる所以は放射線の障害があることであり、それが他の爆弾と異なる点である。そのことをもう少し強く出すべきである。急性障害に関する資料として写真が少し展示されているが量としては少ない。佐々木禎子さんに関する資料は象徴的に展示してあるが、後障害に関しては、展示資料が少ない。後障害に関しては、放影研、広島大学、日赤、原対協など放射線障害の専門機関が多数貴重な資料を所蔵している。学術的である必要はないが、それらの資料を活用し、広く市民に知ってもらうべきである。被爆者が最も苦しんでいるのは後障害である。人の問題を取り上げる以上は、後障害についてもっと展示するべきである。

 

今中委員長
展示項目の5番目に「放射線」とあり、独立した項目にしなくても良いという意見もあるが、広島の広島たる所以は放射線被害であるなら、独立した項目にした方が良いとお考えか。

 

神谷委員
その判断は難しい。上手く表現できるかの問題である。現在の案では、放射線の急性障害と後障害が切り離されている。そのつながりの問題もある。被爆者の後障害の例として佐々木禎子さんが前面に取り上げられているが、それ以外の資料がない。

 

今中委員長
石丸委員から「導入部」が大事であるという意見があった。本館を案のとおり「8月6日のヒロシマ」と「被爆者」というまとまりで2つに分け、館のほぼ中央で分けるという案に異存はないか。

 

静間委員
「被爆者」のコーナーの面積増えると被爆資料の展示が減るのではないか。

 

今中委員長
今後、議論で詰めていくべきであるが、「8月6日のヒロシマ」と「被爆者」はある程度バランスをとっていくべきと考える。資料では館の中央で分けてあるが、スペース的な問題も含めてどう思われるか。

 

大井委員
バランスとしては半々が丁度良いと思われるが、現時点でスペースを考えるよりも、どのようなコンセプトとレイアウトが効果的かを考え、今後変えていけば良いと考える。
放射線の展示について、現在の放射線のコーナーはやや学術的である。全般に放射線の被害を強く打ち出していくのが良いと思う。

 

坪井委員
資料館には老若男女問わず千差万別の人が訪れる。資料館には原爆とは、核兵器とは何かというのを理解してもらう大きな力がある。本館では感覚で理解できるような情に訴える展示が望ましい。人は情によって動かされる。放射線の障害は一言で言える問題ではない。後障害の問題は東館で理知的・科学的な見地から説明するのが良い。また、長年研究されていても医学的にまだ解明されていないということにも言及してもらいたい。
修学旅行で来る小学生の場合、事前に話をしていると、本館のジオラマでもしっかり見ることできるが、話をしていなければ顔を背けて通り過ぎてしまう。大人でも大袈裟と言う人もいる。被爆者から見ればジオラマはおもちゃである。
最初の部分で原爆が何かというものを簡単に説明していれば受け入れられると考える。入口、ジオラマに至るまでの簡単な説明、音響なども効果的に利用し、学んでみようという意欲のわくものが望ましい。

 

今中委員長
石丸委員が提示したのは「導入展示」ではなく本館の導入部分の展示をどうするかというものであった。坪井委員の意見を導入展示で位置づけ、小・中学生にとって分かりやすい導入展示にしていきたいと考えている。
本館の導入部分は事務局案の通り、「原爆投下・爆心地」か、また導入展示で全体像を示しているため、人の被害を伝える「被爆者」から入る手法もあるがどう考えるか。

 

静間委員
展示項目として最初に「原爆投下・爆心地」を配置するのは問題ないと考える。石丸委員の意見はその前の導入部分のことではないのか。

 

石丸委員
その前ではない。

 

静間委員
ジオラマ等を撤去するとして、その代わりに何を展示するのかという議論になるかと思う。代替展示物なしできのこ雲を展示するかということか。

 

石丸委員
次回の会議では、資料に細かいゾーニングとどのような空間にしたいかというコンセプトを加えてもらえると検討しやすい。「8月6日のヒロシマ」というテーマにすると、全て8月6日に起こったのかという指摘もあるだろう。8月6日にこのようなことが起こったヒロシマを意味していると考えておく必要がある。スペース的にも「被爆者」の方に少し食い込んでいくかと思うが、今後の検討結果によると考える。

 

水本委員
石丸委員が言う導入は、「8月6日のヒロシマ」と「被爆者」にどう導入していくかという話だと考える。現実には、最初の細い通路を経て広い空間に出るまでがそのような機能を果たすのであろうが、石丸委員の遠景、中景、近景的なものを展示するという案は、一つのたたき台になるかと思う。爆心地でのリアルな被害の予告になるようなものをこの通路で導入するべきだという提起だと受け止めており、私自身現実的に良いと考えている。それをどう現実化するかである。
坪井委員の指摘は、導入展示だけでなく本館全体は東館と異なり、感覚的に感情に訴えるコンセプトであるべきだというものだと思う。
東館では放射線の医学的・物理的な影響を説明する部分はあるのか。核兵器の中心は放射線の問題であると考える。これまでは佐々木禎子さんが一つの象徴であったが、本質的で最も大事なことは現在進行形で起きていることである。今、現在進行形で起きていることを展示することが重要であると考える。例えば、放射線の障害のメカニズムを整理し、今直面している放射線の実態を感覚的に分かるように展示することが望ましい。時系列で被爆者が何年後にどこの臓器に癌ができることなどを示し、それを研究の成果としてではなく、被爆者が直面している問題として資料館で展示することが重要だと考える。いかにリアルに具体的に見せるかという課題も盛り込んでもらいたい。

 

今中委員長
今日の議論は今後の大きな道筋をつける根幹になる部分であるため、色々な御意見をお願いしたい。

 

大井委員
本館の平和公園側に広がる空間は、現状色々な使い方をされ、求められるテーマも多いと思う。事務局として整理している案はあるのか。空間自体の見え方も含めて検討しなければならない。「8月6日のヒロシマ」「被爆者」という人中心という本館と同じテーマでいくのか、まだ未整理だと思うがどうか。

 

事務局
本館北側ギャラリーの部分では、新たな要素として「観覧後の心情に配慮した場」を設ける。これが、現在持っている役割と大きく違う点である。本館の凄惨な展示を観た後に心を整理する場として空間の構成をどのようにするかが問題である。それ以外の要素としては、現在もある対話ノートを書いたり、平和記念公園あるいは広島の復興の様子が分かる展示など現在の部分を多く受け継いでいくことになるかと思う。一番の問題は、心情に配慮した場を展示空間の中にどのように配置するかである。


今中委員長
議題1について多様な意見が出た。続いて議題2「本館展示手法、展示資料の課題の整理」について事務局から説明をお願いしたい。

【議題(2) 本館展示手法、展示資料の課題の整理】
【事務局】
本館展示手法、展示資料の課題の整理について、資料3により説明。

今中委員長
「本館展示手法、展示資料の課題の整理」に関する事務局の説明に対して、御意見・御質問等あればお願いしたい。


水本委員
4ページの「遺品・被爆資料の展示」の項目について、前回の会議で、遺影の集合展示は国立の追悼平和祈念館で行っているため、必要はないと述べたが、事務局の意図を誤解していた。個々の被爆者の資料に即して遺影を展示するのであれば良いと思う。


事務局
こちらの説明が不十分で申し訳なかった。


静間委員
5ページの放射線量測定器については、本館に展示しない方が良いと考える。体験コーナーはこども文化科学館等別の施設であれば意味がある。仮に東館で展示するのであれば、放射線だけでなく、熱線、爆風がどのようなものであったかも織り交ぜたコーナーにする方が良い。現在の本館展示のように放射線のみを示すのであれば違和感を覚える。


水本委員
パノラマについて、現在は焼け野原の広島市内を模型にしているが、新たに作るとすれば、原爆の被害でここまで壊滅したというのがよく分かるようなものが望ましいと思う。例えば米兵の被爆の状況など、一面焼け野原の模型であれば原爆の危険性に関する理解は十分には得られない。
「市民が描いた原爆の絵」については、記憶を辿って描いたものであり実証性に乏しいとの意見も一部あるが、大変貴重な資料だと考える。資料館の役目は、原爆の被害の実相や核兵器の危険性を実証的にデータや資料に基づいて展示することであるが、市民が描いた原爆の絵の中には、記録には出てこないが絵として初めて描かれていること、具体的に分かることもある。記録に残っているものと絵を照らし合わせることで当時の新たな事実が判明する可能性もある。全体として伝えることも大事であるし、歴史的な資料として事実が含まれている絵であれば活用の方法があるのではないか。例えば、爆風で飛ばされて電線にぶらさがった馬の絵がある。写真には残っていないが、爆風の威力を示す資料となる。原爆の威力の危険性とセットで効果的に活用できると考える。


大井委員
「市民が描いた原爆の絵」については、市立大学の芸術関係の先生も、資料館の中で一番心を打たれ、恐怖を感じたという人が多い。素人の方が描いたたどたどしい絵であるが、十分訴えかける力がある。展示の効果など使い方をよく検討する必要がある。被爆者の証言ビデオとともにジオラマ模型に代わる資料であると思う。


石丸委員
大方針があると良い。例えば、「最新の展示手法を積極的に導入しようとはしないが、必要に応じて被爆とその実態を表現するために、強調し過ぎることなく、わざとらしくなく、かといって矮小化することなく、表現する」。このような方針があると個々の具体的な事を判断する際に参考となる。
外国人、特に韓国・朝鮮人の被爆について、今から被爆時の写真やデータを探すのは大変である。彼らの生活が被爆によりどう歪められ、貧困化したかという日々の生活を研究的に描くことはできるのではないか。そのためには研究者を発掘し、上手く繋がりを持つことが必要である。今からどの程度できるかわからないが、別のスタンスでアプローチする価値はある。


今中委員長
基本計画の段階で、外国人被爆者の展示が必要であるという共通認識に至った。実物資料を所蔵していないのが実情であり、実物資料がなければ本館で展示することは難しい。東館で説明することも考えなければならない。韓国原爆被爆者協会、朝鮮総連などを通じてなるべく早く資料の発掘作業に着手すべきと考える。広島で被爆した韓国・朝鮮人は多数いるため、何らかの資料があるはずである。資料が見つかれば本館に展示するべきものと考える。


賴委員
放射線の後障害について、放影研や広大の原医研などで長年の研究の蓄積がある。わかりやすく説明するためには専門の方にしていただく必要があるが、資料館所蔵の資料だけでなく、研究機関所蔵の資料も、展示に必要な物は随時収集する必要がある。


大澤委員
展示する際、写真など実際に証拠になるものと、絵など記憶に基づくもの、両方展示に入れるという位置づけはするのか。例えば、被爆直後の火災の映像はないが、被爆直後の火災を説明するために「市民が描いた原爆の絵」で説明することはできるのではないか。事実とは多少違うこともあるかもしれないが、記憶を取り入れるということは必要だと考える。韓国人の資料についても、広島市現代美術館のヒロシマ賞の第4回の受賞者であるポーランドのクシュシコフ・ウディチコ氏の現代美術のプロジェクトでは韓国の人も多く証言していた。その中で「全てが焼きつくされたが差別だけは消えなかった」という証言を今でもよく覚えている。絵や現代美術なども盛り込み、できる限り原爆の悲惨さを展示するという理解でよいのか。日本人だけでなく、韓国人、アメリカ人などの外国人も多く被爆したということを示すために、現代美術のビデオや絵を使用することもできる。


大井委員
平和記念資料館自体、文化や芸術を取り入れるべきだとは思うが、今すぐ直結した展示をするのは難しい。「市民が描いた原爆の絵」は記憶だけで描かれたもので、何の作為もなく一生懸命描かれたたものであるが故に心を打つ。映像資料として残っていないものを記憶として、また本物として、並列して展示することもできる。レイアウトやゾーニングをしていく中で効果的な使い方があれば踏み込んでいけば良い。今回、東館で企画展をするスペースを広く取っているため、本館、東館で展示できなかったもの、今後力を入れて展示する必要がある分野のものはそこで実験的に展示すれば良い。企画展会場は東館1階の無料ゾーンであるため、公園に来られる方も自由に入っていけるような空間になれば良い。


水本委員
韓国人被爆者の問題について、韓国のハプチョンに行けば証言を聞くことは可能である。メディアで番組を制作されている方もいる。また、「都市の壊滅」のコーナーで、韓国・朝鮮人被爆者がこの辺りに多く住んでいたということに言及するなど他にもできることはある。


今中委員長
基町の「原爆スラム」などは典型である。


水本委員
相生橋の路上の米兵捕虜について、警察官と二人の日本人が、息も絶え絶えの米兵から水をくれと言われ、ここまで苦しんでいては敵も味方もないと思い水を飲ましたという証言も手記として残っている。今語っている被爆者の証言以外に、これまでに3万点、4万点の手記が残っている。広島原爆戦災誌の編集の際収集した資料もある。このような資料を研究会などを利用して見直し、実態を探る作業も可能である。


静間委員
広島の原爆といえば、原爆ドームが一つの象徴である。現在の展示では、東館に大きな模型があるものの、本館にはほとんど展示がない。被爆前の原爆ドームが一瞬にして今のような形になったことを示すために、写真や、今夏に元安川で発見された石柱などを展示しても良いのではないか。他にも、以前、ドームの保存工事の発掘調査の際、銅片を多く見つけた。これは屋根を覆っていた銅が下に落ちたものである。それらの資料を展示することも可能であり、ジオラマに代わる資料だと考える。もう少しドームに関する展示があっても良いと考える。
5ページの「人影の石」について、一見して影の部分がわかりにくい。あそこに人が座っていたということを説明するために、写真に点線をつけるなどの工夫が必要である。
原爆のフォールアウトの区域については、現在議論中で展示に盛り込むのは難しい。これまで知られていた範囲よりは広いのは間違いない。写真で説明するのであれば、仁科財団の『原子爆弾』という本の中に、三滝の池で死んで浮いている魚の写真があるが、それを使用して黒い雨の被害を説明するのも良い。
現在の展示で、若本さんの黒い雨にぬれたシャツを展示しているが、以前の調査で御本人に確認したところ、このシャツは原爆当日に新しくおろしたもので、その後10年間も着用し続けて現在のような悲惨な色になっている。原爆で現在のような形になったわけではない。展示物の内容についてももう少しきちんと調査するべきである。
広島の原爆投下の説明だけでは十分ではない。原爆の悲惨さを訴える上で、簡単でも長崎の展示が必要である。今日配布された新聞記事を見ると、以前は長崎の展示があったようである。広島の原爆の被害だけ見てもこのようなものは二度と使ってはいけないという意識を持つとは思うが、その後もアメリカは長崎に原爆を使用したという事実は示しておくべきである。


石丸委員
韓国・朝鮮人の問題を社会問題にまで広げるのであれば、広島大学の総合科学部に綿密に研究している先生がいることを申し上げておく。
展示資料の詳細の項目は次の段階で示していただけるのか。


事務局
実施設計の段階での話になる。


石丸委員
平和記念公園のコーナーで、追悼平和祈念館の基礎工事の際の地層のはぎ取りを展示してほしい。
現在の展示のキャプションを読んで、救援・救護の展示内容が今一つと感じた。当時、医師には治療の方法がわからなかった、医薬品が決定的に欠乏していたということが強調されていない。また、マルセル・ジュノー博士の業績については評価するべきであるが、展示解説文の書き方には誤りが多い。日付が広島市に入った日ではなかったり、医薬品の量には諸説ある。GHQが医薬品を提供したと評価するような説明文になっているが、もしGHQにその気があれば8月に医薬品を提供していたはずである。そうしなかった背景には意図があったとする説もある。アメリカを評価するような説明文にならないようにすることが必要である。


神谷委員
後障害について、現在資料館で展示できる資料は少ないが、色々な資料が放射線の専門機関に蓄積されているため、後障害の資料を集めるべきである。後障害は大きな問題であるにもかかわらず、ほとんど資料館で説明されていないため、強化すべきである。現在の展示では、世界の人が来られて資料館を見学しても、原爆の障害を正確に理解できない。資料館だけでは不可能であるため、専門機関の研究者に相談する、サブワーキンググループを作るなどして、展示にあうコンセプトの中で展示するべきである。情緒に訴える、視覚、感情に訴える展示、また、原爆の被害の全体を直感的に伝える展示が重要だと考える。そのような展示は後障害の問題でできると思うので、検討していただきたい。


大澤委員
被爆20周年の際、イギリスの先生から20周年について記載のある新聞を送ってもらった。広島は復興しているが、今も後障害で苦しんでいる人がいる2面性のある街だと言われた。今も苦しんでいる人がいるという点が情に訴えかけられ印象に残っている。今なお苦しんでいる人について本館で展示し、また科学的に説明すれば良いと思う。


坪井委員
原爆の絵や被爆者の手紙など資料が多すぎで、どれを展示するかが問題である。資料の選択が重要になってくる。資料を生かすために、資料館の職員以外に、原爆の理解にはこの資料が効果的という意見を幅広く伺い、より良い展示にしてもらいたい。


水本委員
「被爆者」の「今日までの歩み」というコンセプトについて、被爆者は放射線による危険性、また未解明である不安に今も直面していると理解している。今も直面している危険性という表現に直した方が良い。
放射線に関する今の危険性を本館で示すことで、同じことが劣化ウラン、核実験の跡地、原発事故の跡地で起こっているという東館の展示に通じ、ヒロシマの役割がそこにもあるということにも繋がるため、本館での放射線の展示を充実させる必要がある。


今中委員長
本館はメインの施設であり、東館の位置づけにかかわってくるため、本館の展示をきちんとおさえておきたいと考える。今日は集約できなかったが、今日いただいた意見を事務局で整理して、次回の会議のテーマをどうするか検討したい。本館については、「8月6日のヒロシマ」と「被爆者」の大きな二本立てにし、「8月6日のヒロシマ」の5項目については、順序は整理するが、このまとまりで進めていきたい。


石丸委員
タイトルの表現はこのまま大きく出るのか。この表現はあまり良くない。


今中委員長
まとまりの意味であって、そのまま出るわけではない。
本日の御意見は事務局で集約し、次回、事務局案を基に検討し、本館の展示について結論めいたものを出したいと考える。今後のスケジュールについて事務局から説明をお願いしたい。


【事務局】
今後のスケジュールを説明

《閉会》