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2-2-1-1火傷と負傷にあえぐ被爆者

 

火傷と負傷にあえぐ被爆者

8月6日午前11時ごろ 爆心地から2,270m
松重美人撮影 中国新聞社所蔵

御幸橋には
大火傷を負って逃れてきた負傷者が群がっていた。
カメラを構えたが、シャッターが切れない。
二十分ほどためらい、
やっとの思いで、一枚目のシャッターを切った。

「助けて」

「水をください」

動く気力もない母親の胸にすがる幼児。

「目を開けて、目を開けて」

子どもの名前を呼び続ける半狂乱の母親。
 

火傷と負傷にあえぐ被爆者

8月6日午前11時ごろ 爆心地から2,270m
松重美人撮影 中国新聞社所蔵

頭髪は焼けちぢれ、
顔、腕、背、足のいたるところの火ぶくれが破れ、
火傷の皮膚がボロぎれのように垂れ下がる。

頬に涙が伝い、ファインダーを通す情景がうるんだ。
まさに地獄だ。

『平和文化』第53号より

本館 被爆の実相 2 8月6日のヒロシマ