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第25回 広島平和記念資料館展示検討会議要旨

1 日時

平成31年(2019年)3月8日(金) 13:00~14:00

 

2 場所

広島国際会議場「ラン」

 

3 出席委員(9名)

今中委員長、大井副委員長、水本副委員長、石丸委員、宇吹委員、大澤委員、神谷委員、静間委員、賴委員

 

4 事務局(13名)

平和記念資料館 志賀館長、加藤副館長、浜岡副館長、宇多田課長補佐、落葉学芸員、土肥学芸員、小山学芸員

平和文化センター総務課 大杉参事

市平和推進課  中川被爆体験継承担当課長、村上主幹、柿田主査

 

5 丹青社(5名)

 

6 議題等

(1)本館展示について(報告)

・ギャラリーの詳細

・焼け跡に立つ少女(本館入口の写真)解説パネル

・本館の観覧にあたって児童等引率者への注意喚起

(2)今後の資料館運営について

・展示検討会議の解散と今後の資料館運営に係る諮問機関

・本館ギャラリー、東館1階エントランス等の空間の保全

・常設展示の更新

・展示方針

 

7 公開、非公開の別

公開

 

8 会議要旨

 

《開会》

 

【丹青社】

「ギャラリーの詳細」について、会議資料1~3ページを用いて説明。

 

【事務局】

「注意喚起パネル案」について、会議資料4ページを用いて説明。

 

今中委員長

説明は以上でよろしいか。ご意見があれば賜りたいが、その前に、資料3ページの写真はそれぞれどこで展示するのか確認したい。

 

事務局

ギャラリー出口付近突き当り壁手前にて、両方並べて解説する。グラフィックは資料2ページを参照してほしい。

 

今中委員長

了解した。もう1点確認したい。資料3ページの解説に、藤井さんが赤十字病院で手術を受けたとあるが、原爆病院ではなく、赤十字病院で間違いないか。

 

事務局

一度確認しておく。

 

石丸委員

今回のリニューアルは平成の大改修と銘打っているが、オープンに際して世界にメッセージを発することは可能か。一生に一度の来館が改修と被ってしまった、また、改修中だからという理由で来館を断念した外国人も少なからずいたはずである。そのような方に対する謝罪や、リニューアルの宣伝を行えないか。

さらに、開館して最後ではなく、世界の方々とともに考えながら資料館をよりよいものにしていくことも伝えられればなおよい。

最後にもう一点。本館の観覧中に気分が悪くなった人への対応はどのようにお考えか。動線のショートカットはできるのか。

 

事務局

まずは、4月25日のオープニングセレモニーで市や資料館から挨拶というかたちでメッセージを発信する。また、今年9月に国際博物館会議が京都で開催され、その分科会が広島で行われるので、博物館関係者に向けた情報提供を考えている。世界に向けた発信という観点については、いただいた意見を参考に、今後長期的な視野で取り組んでいく。

2点目のご意見について、本館の構造上ショートカットはできない。展示室からギャラリーに向かう途中に救護室があるので、そちらで個別に対応する。

 

石丸委員

注意喚起サインについて、「凄惨な」という言葉では資料に対するイメージを固定化することにつながらないか。「できるだけ被爆の実相なり実態を示す写真や絵」と言い換えてはどうか。

 

事務局

この注意書きは、子供に見せたらショックを受けるような絵や写真があることを明確に伝える必要があるため、提案いただいた表現には置き換えられない。

 

今中委員長

それでは、対応できるものは事務局のほうで対応してもらう。次の議題に移る。

 

「今後の資料館運営について」

 

今中委員長

展示検討会議は本日で解散になるが、今後の資料館運営に関して諮問機関を置いてはどうか。更新計画、基本計画、その他重要な問題について、外部の諮問機関から意見を聴取するというものである。

今回欠席の小溝委員の意見にも、中心となる委員でコアを構成し、課題ごとの必要に応じてその分野の専門家からも意見を求めることができるような柔軟性のある組織の提案があった。人権意識、時代の変化、技術の変化などにどう対応すべきか、適切な助言が得られる仕組みが望ましいのではないかという貴重なご意見をいただいている。

他にあればご意見賜りたいと思う。

 

水本委員

私も何らかの諮問機関が必要だと考える。資料館が政治に左右されてはならないという強い意識をもって任務を遂行できる、教育関係者、博物館関係者、研究者などの外部アドバイザーで構成するべきだ。

さらに、できれば、展示検討会議で審議してきたことを大切に継承していけるよう、検討委員の中から何名かアドバイザーを選出できるとよい。

 

大井委員

今後様々な寄贈品・美術品などが増えてくるなかで、資料の取捨選択をしないと、展示の一番重要な役割である、被爆の実相を伝えるという根幹が揺らぎかねない。資料館が展示の基本理念をしっかり持ちつづけ、適切な展示になっているかどうかチェックする何らかの専門機関が必要である。

 

石丸委員

展示室はひととおり完成したが、平和記念公園など外部環境も含めた整備は十分とは言えない。発掘現場や、原爆ドームと資料館をつなぐ軸線をどのように扱うかは未だ大きな課題となっている。

また、被爆100年を見据えた長期的な都市政策・平和政策が必要であり、世界との対話も含めて審議できるような組織が求められている。

 

今中委員長

諮問委員会やそれに類する機関をつくることについては、特に異存ないようである。むしろ資料館を意義あるものにして、理念を継承していくために必要だという意見があった。

私個人の意見としては、小溝委員の意見にあるように、必要に応じて専門分野の人から随時意見を聞いて資料館の運営に反映していく諮問機関があればよいと思っている。具体的な機能については、いただいた意見を盛り込んでいく。

 

今中委員長

続いて、本館ギャラリーと東館エントランス等の空間の保全についてである。基本計画と展示検討会議において、資料館には来館者の心情や感情の整理に配慮した空間が必要であるという方針を取りまとめた。ともすると、大きな空間があると無駄だとか、余分なところだととられがちであるし、もっと様々な用途に活用してもいいのではという意見が出てくる可能性もある。ただ、歯どめをかけておかないといけないという意味も含めて、この空間をどう保存していくべきか、ご意見があれば賜りたい。

 

大井委員

先ほど同じようなことを話したが、東館のエントランスのホール入り口に随分色々なものが置かれており、今後もそのような状態が続くと思われる。そのため、管理方針を立てておくことは重要である。

石丸委員の意見につながるかもしれないが、企画展示スペースの使い方も本館展示とリンクさせる必要がある。また、資料館と公園の関係性や、その他の建築との関係性も今後検討するに足る課題である。

 

今中委員長

それでは次の議題、常設展示の更新についてである。この件については事務局から説明をお願いする。

 

 

【事務局】

「常設展示の更新」について説明。

 

水本委員

資料館の管理運営費用はどこが負担するのか。

 

事務局

指定管理者制度に則り、指定管理費の中から基本資金を得ている。追加で市から資料保存の委託を受けてお金をいただいている。これらの資金で資料の保存や管理、展示の運営などを行っている。ただし、大規模な常設展示の改修に際しては、別途費用が発生する。

 

水本委員

指定管理者はよく公募されているが、資料館の場合はどのように選出しているのか。

 

事務局

当資料館はそれなりのノウハウと継続性が必要であるため、非公募で広島平和文化センターの財団が指定管理者となっている。財団が予算を組み、市の査定を受けたのち指定管理費を受け取る仕組みになっている。

 

水本委員

市民にとっては広島平和文化センターと資料館の関係が不透明で、全体像が見えにくい。諮問会議設置の際は組織体制を明確にしてほしい。また、資料館の運営費用が市の全体予算の増減に左右されることのないよう、展示検討委員会解散後も資料館の意義を伝えていく必要がある。

 

今中委員長

今の指摘が諮問会議の範疇になるかどうかは不明だが、展示替えに莫大な費用がかかることには相違ない。リピーターが多いという点からも、資料の保存面からも展示替えは必須と考えると、資料館が平和行政の柱であるということを主張して、予算を確保していくべきだということも提言の中に入れていきたい。

 

石丸委員

常設展示において、展示更新の際に新しいテーマを設けることは可能なのか。資料を機械的にローテーションで回すだけなのか。

 

事務局

常設展示は基本現状を踏襲する。常設展示のテーマを展示更新ごとに変えるというのは予算に見合わないし、展示替えの時間もない中で難しい。テーマを設けた展示は企画展で行う。

 

今中委員長

それでは、最後の項目である。資料館の展示手法については、更新計画、基本計画を踏まえて展示検討会議で実物資料、写真、原爆の絵、模型などを使って、科学的・客観的な視点を重視した展示に重きを置いてきた。また、来館者に一方的に考え方を押しつけることを避けて、来館者みずからが原爆被害の記憶を受け取り、みずから考えて行動するような展示を打ち出してきたと考えている。

展示の手法はまさに資料館の存在そのものであるが、このような流れでいいのかどうか、ご意見あれば伺いたい。

 

水本委員

海外の来館者も多い中で大切なことは、この館が核兵器の非人道性について伝えるということである。核問題の議論はナショナリズムを前提にしているが、資料館はそこから一線を引き、核兵器の非人道性を説くことに注力すべきである。それを担保するためには科学的・客観的な展示が必要だと考える。

 

今中委員長

今回はいろいろ貴重なご意見を賜った。以下の4点を最後に提言させていただきたい。

1点目は、今後の資料館運営にかかる諮問機関を設けることである。
2点目は、来館者の心情や感情の整理に配慮した空間が必要であるという理念を再確認した。本館ギャラリーと東館エントランス等の空間の保全については、これをきちんと保全していくこと。
3点目は、常設展示の更新について、今現在に至るまで多数の資料が寄贈されているので、リピーター対策としても可能な限り展示更新に取り組んでもらう。2万点の資料の中からテーマごとに厳選してタイムリーに入れかえていく。それが原爆資料館の訴求力につながるということを特に指摘した上で、それに伴う予算措置もしっかりすることを提言に含めたい。
4点目は、展示方針についてであるが、検討会議でも遺品や被爆資料を中心にした実物資料、写真、映像、原爆の絵などを使って、科学的・客観的な視点を重視するということが指摘された。ここでそれを再確認して、来館者が原爆被害の記憶を受け取って、自ら考えて行動してくださるような展示にするということを全体の基本理念にすることも提言に入れたい。
以上をもって今日の議題を閉めたいと思う。委員の皆様には、長期間にわたり積極的に参加してご議論を賜り、貴重な意見を出していただいた。委員長としても大変ありがたく思っている。ありがとうございました。

 

《閉会》