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第24回 広島平和記念資料館展示検討会議要旨

1 日時

平成30年(2018年)5月18日(金) 14:00~16:00

 

2 場所

広島国際会議場研修室(2)(3)

 

3 出席委員(10名)

今中委員長、大井副委員長、水本副委員長、石丸委員、宇吹委員、大澤委員、神谷委員、静間委員、賴委員、小溝委員

 

4 事務局(13名)

平和記念資料館 志賀館長、加藤副館長、浜岡副館長、宇多田課長補佐、落葉学芸員、福島学芸員、土肥学芸員、小山学芸員

平和文化センター総務課 大杉参事

市平和推進課  中川被爆体験継承担当課長、村上主幹、柿田主査、重田技師

 

5 丹青社(4名)

 

6 議題等

本館展示について

 

7 公開、非公開の別

公開

 

8 会議要旨

 

《開会》

 

【丹青社】

  「ギャラリーの詳細」について、会議資料2ページおよびCG動画を用いて説明。

 

今中委員長

ただいま丹青社から本体全体構成、ギャラリーの詳細について説明を受けた。委員の皆様からご意見を賜りたい。

 

石丸委員

CGパースのルーバーの奥行が、実際より狭いように感じる。

 

丹青社

ギャラリーから見える外の景色を考慮して見えがかりの調整を行った。

 

大井委員

対話ノートの記帳台のみ白いが、意図してそこだけ白いデザインにしているのか。記帳台が目立って良いとは思うが、ギャラリー全体のデザインを考慮したうえで決定してほしい。

 

丹青社

承知した。機能としては目立ったほうがいいが、全体の雰囲気になじむよう黒ベースでデザイン詳細をつめていく予定である。

 

大澤委員

確認であるが、公園側からギャラリー内にいる来館者の足元が見えないか。

 

事務局

距離的に見えないので問題ないと思われる。

 

石丸委員

現在のファサードは、建設された当初のイメージからかなり変化している。現在に至るまでの外観の変化について、聞かれた際に説明できるよう準備が必要である。

 

今中委員長

それは聞かれた方に答えるということで良いか。

 

石丸委員

資料館の外観や内部空間の変遷の過程が記録されていると良い。

 

今中委員長

それでは続いて、「魂の叫び」に移る。事務局と丹青社から説明をお願いする。

 

【事務局】

  「魂の叫び」について、会議資料3・4ページを用いて説明。

 

今中委員長

それでは、ご意見を賜りたい。

 

水本委員

遺品とその持ち主のことを解説する文字情報はどれぐらいあるのか。

 

事務局

このコーナーは、亡くなった人や家族の思いをじっくりと知ってもらうことが目的である。そのため、文字量は300字程度で、解説文とあわせて家族の手記・体験記を含めながら詳しく説明していきたいと思っている。

 

静間委員

多言語対応はどのようにする予定か。

 

事務局

基本的には日英表記だが、コーナー解説は今の東館と同じように多言語タッチパネル、手話映像、点字パネルを用意する。音声ガイドも併用するが、これまでどおり17言語に対応できるようにする。

 

石丸委員

ゾーンサイン、コーナーサインは「魂の叫び」以外の場所にも設置されるのか。

 

事務局

そうである。

 

石丸委員

資料のそばに文字情報は入るのか。

 

事務局

資料のそばには説明用の解説パネルが入る。

 

石丸委員

これから対応していただけるかどうかという問題はあるが、来館者が展示の全体構造や今見ているコーナーの中心的なテーマに気付けるような仕掛けを施せないか。

 

神谷委員

造作を新たに設けるのでなく、パンフレット類の中に見取り図を掲載すれば対応できるのではないか。

 

事務局

本館オープン後は、東館と合わせた見取り図を掲載する予定である。

 

石丸委員

現在地を示すというよりは、テーマの全体構成について展示の中で解説があると良いという意図だったが、これから実現するのは難しいと思われる。

 

静間委員

「魂の叫び」の遺影はすべて子供である。その辺は何か意図があったのか。

 

事務局

今回お示ししたA、Bブロックでは、建物疎開で作業に動員されて亡くなった子供たちの遺品を中心に展示する。今回は説明していないが、次のブロックでは遺品の持ち主の年齢に幅をもたせ、様々な境遇の方が亡くなったことを伝える予定である。

 

今中委員長

パンフレットの中にも、「魂の叫び」などといったタイトルは部分的に入るのか。

 

丹青社

そうである。ゾーンサイン、コーナーサインのタイトルはすべてパンフレットに表記する。

 

今中委員長

それがあれば、全部見て、それぞれの来館者に展示構成を感じ取ってもらうということになるのではないか。

 

今中委員長

それでは続いて、エントランスの再検討について、事務局から説明をお願いする。

 

【事務局】                      

  「エントランス再検討」について、会議資料1・5ページを用いて説明。

 

今中委員長

身元が明らかになったという意味では、A案でも問題ない。必ずしもここにひどい写真がこなくても良いのではと思う。また、よりふさわしい写真が今後出てくれば、差しかえることも可能だと思っている。
本日どちらの案にするか決定するという前提でご意見を賜ればと思う。

 

石丸委員

AもBも、現段階でキャプションは用意されてない。解説文案は考えているか。

 

事務局

まだ考えていない。

 

石丸委員

写真の人物が重傷でなくとも良いという理由を説明していただきたい。

 

事務局

必ずしも一番悲惨な写真をここに置く必要はないというのが一つある。また、A案に関しては、被爆した状況がわかっているうえで、それがすべての熱線被害の代表ではないということが伝われば問題ないと考えている。

 

石丸委員

A、Bどちらの案が良いとは強く言えないが、重軽傷に関わらず、それぞれの写真がそれなりに大きな意味を持っているということを、資料館全体の展示方針としてもわかるようにしてほしい。

 

事務局

本館は、知識として与える情報に関してはできるだけ抑えて来館者の心で感じてもらい、その後の東館展示で科学的、学術的情報を得ていただく。この基本方針からすると、解説指針は現状のままで良いと考えている。
また、A案の藤井さんはやけどの程度からいうと比較的軽傷であるが、撮影後の人生では放射線の影響で亡くなられている。本館の最後の方の展示では、放射線が長い間人々を苦しめたことについて説明しているが、この解説まで読めば藤井さんが必ずしも軽傷だったわけではないということが分かると思う。

 

石丸委員

キャプションでそのあたりを解説できないか。

 

事務局

キャプションもしくは何らかの形で解説できないか現在検討中である。

 

今中委員長

A案にするのであれば、展示出口付近で撮影後の人生について触れられると良いのではないか。

 

大井委員

渡り廊下の暗さはほぼCGどおりになると考えてよいか。エントランスの写真が来館者の心に訴えかけるようなデザインを取り入れてほしい。

 

事務局

CGよりは明るくなる。

 

大井委員

左右のカーペットの色が異なるのは、往復路を示しているのか。

 

丹青社

意識上のパーティションとして貼分けを施している。

 

大井委員

来館者が写真を常に目指して歩いているという意味では、全景の見えるA案が良い。

 

今中委員長

床下にさりげなく矢印のようなサインがあれば、混雑したときにぶつかり合いを防げるのではないか。

 

事務局

他の美術館や博物館における事例を検証したうえで検討していきたい。

 

今中委員長

パンフレットに順路を示す方法もある。

 

事務局

行き帰り動線の対応策については長期的な視野で試行錯誤していきたい。パンフレットも含めて検討する。

 

静間委員

エントランスに続く展示では、黒焦げの死体など凄惨な写真がたくさん出てくるので、展示の冒頭であまり悲惨な写真を出さない方が良いのではないか。そのように考えると、大きく引き伸ばした時に凄惨さが露骨に出るB案よりもA案が適当だと思われる。
また、A案はその後の人生で原爆の影響を受けていることが分かるので、エントランスに展示する写真としてはA案のほうが適当である。

 

水本委員

藤井さんの人生は、現在まで放射線によって苦しめられてきたその他大勢の被爆者の人生に通じるものがある。また、長崎の少年の写真と同様に、非常にメッセージ性の高い写真である。

 

今中委員長

松重さんの写真も捨てがたかったが、2枚セットで見た方が効果的であるという今の案は一理ある。また、将来別の写真がでてくれば、エントランスの写真の差し替えは可能である。したがって、現段階ではA案に決定して良いか。

 

小溝委員

A案は、展示を見て何を考え、何を感じるのかという問いを来館者に訴えかけてくるようなイメージが良い。また、当館には小学生を含む修学旅行生が多く訪れるので、エントランスの展示では、その点も考慮した方が良いだろう。
なお、早逝したA案の写真の少女のその後について詳しい事情が分かっているようなので、それについては、展示を振り返った時に写真の意味をより深く理解できるように展示の最後やパンフレットの中で説明できると良い。

 

事務局

委員長がおっしゃるように、展示更新は十分ありえる。ひとつは当初の狙いが来館者にうまく伝わらなかった場合、もう一つは資料の劣化である。後者について、「魂の叫び」は1~2年おき、「原爆の絵」コーナーは最長1年での展示替えを想定している。

 

大井委員

「魂の叫び」の展示ケースは展示更新に対応したサイズになっているのか。

 

丹青社

実際に展示する資料を実測したうえで、汎用性のあるサイズに決定している。

 

大井委員

展示更新の際はケースの大きさに合わせて内容を考えるのか。

 

丹青社

そちらは了承済みである。

 

今中委員長

それでは、一応、今日の段階ではA案ということで進めていくことにする。あと少し時間が残っているけれども、もしこれまでの4項目についてちょっと補足しておきたいというようなご意見があったら、随時お願いしたい。

 

石丸委員

「魂の叫び」のA~Bブロック名称はそのままサインになるのか。

 

事務局

A~Bのブロック名称は説明用に便宜的につけたもので、サインとしては使用しない。

 

静間委員

ギャラリーの対話ノートは1ヶ所しかないので、混雑が懸念される。

 

事務局

対話ノートは本館だけでなく、東館1階にも設置しているので、ギャラリーは1ヶ所としている。

 

今中委員長

東館1階の対話ノートは十分なスペースをとってあるか。

 

事務局

既に設置しているが、東館1階の情報コーナーの場所でじっくり書いていただけるようにする。

 

神谷委員

エントランスの写真について、A案が適していると思う。被写体の少女の表情に絶望や切ない思いがあふれており、来館者を引き付ける力がある。また、外科的に深刻な症状ではないが、放射線によって40歳で亡くなられたという重い事実もある。
今までの議論にあったとおり、来館者がこの人の人生に思い至るような情報を提供してほしい。

 

今中委員長

そのほかはいかがか。特にないか。それでは、議論のほうはこれで閉じたいと思う。

 

【事務局】

今後の予定について説明

 

《閉会》