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第23回 広島平和記念資料館展示検討会議要旨

1 日時

平成30年(2018年)1月25日(木)午前10:00~12:00

 

2 場所

広島平和記念資料館地下1階会議室(1)

 

3 出席委員(9名)

今中委員長、大井副委員長、水本副委員長、石丸委員、宇吹委員、大澤委員、神谷委員、賴委員、小溝委員

 

4 事務局(13名)

平和記念資料館 志賀館長、加藤副館長、宇多田課長補佐、新田主幹、落葉学芸員、福島学芸員、土肥学芸員、小山学芸員

平和文化センター総務課 清川参事

市平和推進課 中川被爆体験継承担当課長、村上主幹、柴田主査、重田技師

 

5 丹青社(5名)

 

6 議題等

本館展示について

 

7 公開、非公開の別

公開

 

8 会議要旨

 

《開会》

 

【丹青社】

  本館展示「ギャラリーの展開」について、会議資料1ページを用いて説明。

 

今中委員長

ただいまギャラリーの展開について説明を受けた。委員の皆様からご質問、ご発言をいただきたい。

 

石丸委員

ギャラリー空間について、写真が示されるなどまだ議論するチャンスはあるのか。平和記念公園について、国からの特別な補助、立ち退きで建設が長期にわたった経緯など、特徴がきちんとわかるようにされているのか。
ギャラリーに入ってすぐのところにベンチが3つあるが、狭くなるのではないか。抽象的な空間をうまく行うなど工夫があったほうがよい。
平和記念式典の変遷もわかるようにしていただきたいが、どの程度配慮されているのか。

 

事務局

きょうの展示検討会議で一応全ての事項をご説明し、ご意見をいただいたことになる。今後の会議で何回も細かいご相談をするのは難しい。きょうのご意見を受けて、具体的な工事、細かい設計に入っていきたい。

 

今中委員長

あとは事務局と丹青社に細かく詰めてもらってゴーサインを出すという基本線を確認しておきたい。

 

丹青社

ギャラリーのベンチは12台の配置を想定している。入り口のベンチは通路としての機能を確保した上で配置しているが、可動式なので、現場でより理想的な配置を追求したい。
公園についての解説は、内容を事務局と十分詰め、どのような形で配置するか、意匠性を含めて検討していきたい。

 

今中委員長

平和式典の変遷についての説明は、東館、本館のどこかに出てくるのか。

 

事務局

東館2階で、平和記念都市建設法、広島復興の過程、式典の歩みを大型情報検索装置のメディアテーブルなどを使って解説している。

 

水本委員

ガラスの枠とベンチの色は黒っぽい色で確定なのか。できるだけ全体に調和した色にお願いしたい。
来館者がいろいろ思いをめぐらす空間なので、今後の運用として、余計なものは置かないようにすることを確認しておいたほうがいい。

 

丹青社

ベンチの色については、ギャラリーに沿う意匠性のあるベンチを想定した上で、屋外の自然素材を取り入れた木系がいいのか、黒がいいのか、最終的に詰めていきたい。

 

大井委員

建築と展示が持つ共通性のあるテーマを表現するということだが、ここの空間の必要性、意味をきちんと整理し、資料展示の事務的な空間にならないよう、色や材質などバランスのとれたものにする必要がある。
格子のガラスの裏面は景観が映るような想定をされているのか。

 

丹青社

そこまで把握し切れていないが、ガラスの後ろ側は40~50センチのすき間があった上で壁が立ち上がっている。その壁の色味をどうするかで表情がギャラリー側に出てくるので、色については十分検討する。

 

大井委員

建築側と展示側の意思の疎通をしっかりやっていただきたい。
中島町の銅板について、軸線上の真ん中にあり、地域の人たちが資料館のためにいろいろ協力されたことの記念にもなるので、展示としての整備をきちんとしていただきたい。

 

小溝委員

石丸委員からあったギャラリー空間を活用した資料館の趣旨説明文設置について、全体の流れの中でどこに置くのがいいか、考えていただき、必ずしもギャラリーでやる必要はない。また説明文は、なるべく簡素にすべきだと思う。
展示の右端にある階段とギャラリーとの間の壁面ガラスは、壁がないので中が見える。この空間に、上からつり下げる形で何らかの展示が追加できるのではないか。安全性の問題などがあるが、将来の検討課題としてお考えいただきたい。
ベンチについては、疲れたり気持ち悪くなって休んでいる人が結構いるので、比較的やわらかい材質で、なおかつ汚れたときに処理しやすい形が実際的だと思う。

 

今中委員長

基本的には、平和公園が眺められる唯一の場所であり、重たい資料を見た後の帰り道にもなるので、シンプルに、ギャラリーの性格そのものを大切にしたいという意見だったと思う。ベンチの色その他、配色にも気配りをしてほしい。ベンチは可動式なので、混雑時は動かすこともできると思う。今ある個数は守り、座り心地がよく、色合いがマッチしたものを工夫してほしいという意見だったと思う。事務局も対応するとのことなので、一応これで完結する。

 

【丹青社】

  本館展示「集合展示」について、会議資料2、3ページ、スライドと動画を用いて説明。

 

今中委員長

ただいま説明を受けたが、ご質問、ご意見があればお願いしたい。

 

石丸委員

人数が多くなったときの来館者の動きをシミュレーションして、どこかにぶつからないかなど、あらかじめ検討しておいたほうがいい。
もうちょっとめり張りをつける仕掛けはないか。流して見てしまってあまり印象に残らないということにならないよう、何かうまい工夫はないか。

 

今中委員長

来館者の見る方向性は、勝手気ままではなく、ある程度ラインを見てあるのか。

 

丹青社

基本的には反時計回りである。繁忙期にかなりの人が訪れると危険性もあるので、ケースの南側に抜け道を設けている。閑散期は閉じてじっくり反時計回りで見ていただき、繁忙期は開けて通り過ぎていただくなど、選択肢を持たせる機能で整備したい。

 

今中委員長

床面にさりげなく矢印を示している展示場もあるが、そういう考えはないか。

 

丹青社

基本的には抜け道を通らず右側に曲がるような工夫を考えているが、補足的にサインを加えることも検討する必要があると思っている。

 

水本委員

混雑を予想しない場合の動線としては、外側壁面を見た後で中央の集合展示を見るという流れでよろしいのか。
入館して最初のスペースであり、人の被害にどうフォーカスさせるかがこの空間の重要なテーマだと思うので、そのことを念頭にハイライトの仕方を検討していただきたい。

 

神谷委員

展示している現物を見ただけではイメージしにくいものもあると思うので、それとリンクする写真を壁面に張ることによって全体像がイメージできるよう、ご検討いただきたい。そこのリンクが非常に重要だと思う。

 

大井委員

設計図どおりに並べて終わりにはならない。丹青社でここのレイアウトの意味と効果を考え、制作時間を多目にとっていただく必要がある。実際にやるとまた問題が起こってくると思うので、現場でかなり処理をしていただかないといけないのではないか。ここで効果的な表現がつくれれば、次のコーナーへつながるいい流れが来館者にも感じてもらえる。

 

石丸委員

ゾーン番号というのはずっと後まで残るのか。つなげていくことは考えられないか。

 

丹青社

ゾーン番号は、資料の性格が場所ごとにわかるよう便宜的に振っているものである。

 

石丸委員

表には出ないのか。

 

丹青社

表には出さない。

 

今中委員長

主として丹青社に対する注文が多かったが、めり張りをつけること、特に展示を補完する意味で写真を効果的に使ってほしいという注文が出た。何回も実際に置いて、見てというトライをしながら、もう少し知恵が出る部分があったら出してほしいという注文もあった。番号については今のご説明のとおりかと思う。

 

小溝委員

中央ケースの五面のところの角がとがったように描かれているが、丸みを帯びさせて、混雑時に引っかかってけがしないようにしていただけるものと理解する。

 

今中委員長

言い残したこと、ご疑念があるものについては後ほど伺うことにする。

 

【丹青社・事務局】              

  本館展示「解説計画」について、会議資料4~6ページと別添資料の解説例を用いて説明。

 

今中委員長

解説文そのものの文言チェックはするのか。例えば解説計画5、「8月6日の惨状」で、主語の後にカンマは要らない。中高生に読ませるので、もう少しチェックしていただきたい。

 

事務局

今回お出ししたのはフォントの大きさ、解説の分量をお示ししたもので、中身は仮に入れただけである。言葉の使い方、小さい子供への配慮など、学芸員がこれから練って決める。

 

小溝委員

この文章だと本文にもルビが必要かもしれない。もしルビを振るなら、見えるサイズを考えたほうがいい。
実際には小学生が結構来る。読めない、読んでも意味がとりにくい人もいるかもしれないので、その人たちには何か紙を用意するなどの工夫を考えていただきたい。

 

石丸委員

解説パネルの材質は何か。間違いや変更の必要性があるときの対応はどの程度考えておられるか。

 

丹青社

材質に関しては今後検討していく。表示の更新性については、基本的にパネルごと一面で貼れる仕様を想定している。東館と考え方は同様である。

 

大澤委員

読むのが難しい子供には解説を配るなど別枠でされるのか、それともルビを振って子供も見られるようにするのか、確認したい。

 

事務局

子供用ではないが、図録のもうちょっとライトなもの、ガイドブックのようなものをつくる予定はある。

 

事務局

子供に関しては2種類ある。修学旅行の団体で来られる方は、当館の啓発課で事前学習用のワークブックを用意している。個別に来られる方には、資料を作成するか、その辺は検討していきたい。

 

今中委員長

幾つかの注文があったが、工夫の余地があるとのことなので、事務局で対応してもらう。
予算の問題などもあるので、全てに行き届いたものは難しい。個別に来た子供たちにも配るものをつくるか、検討の余地があれば検討していただきたい。

 

【事務局】                      

  本館展示「エントランス再提案」について、会議資料7、8ページおよび実寸パネルを用いて説明。

 

今中委員長

副館長からエントランスの写真について詳しく説明があった。二者択一でこの場で結論を出すのか、もう1年あるからという余地を残すのか。また、エントランスの一番ポイントになる写真なので、簡単な説明が要る。出せるなら名前、被爆時の年齢、爆心地からの距離、没年などをぱっと見てわかる文字数で添えたほうがいい。それらも含めてご意見を伺いたい。

 

宇吹委員

A案は非常にストーリー性があってよいが、入る前にそういうものを提示するのがいいのか。原爆資料館に対する注目、核兵器禁止条約、ノーベル平和賞で広がった非人道性という広島のイメージなどを考えた場合、B案がふさわしい。入ってまず男児が見え、その後、医師が目撃者、証言者として出てくるストーリーはわかりやすい。A案は、一人一人の人生を追っていくという意味で追悼平和祈念館的な場所にふさわしいのではないか。原爆資料館ではそういう人生を絶ち切られたことを重視するという意味で、B案がいいように思う。

 

今中委員長

どちらがいいか、この2枚以外にも探す余地を残すのか、全員のご意見を賜りたい。

 

宇吹委員

被爆人形が原爆資料館の中で最もインパクトがあったと感じている人が多い。B案がそれにかわり得るものだと思う。

 

石丸委員

優劣つけがたいが、何か条件が特定できることが絶対ではないと思う。個人的な領域に行くことと被爆、原爆の意味という点でどう思わせるかということの検討が必要ではないか。特定でき過ぎることの問題点がありそうな感じがする。

 

大井委員

A案は優しい、ソフトな感じを受けたが、頬の傷、背景の廃墟、きちんとした服装から、導入展示の被爆前の広島の最後の写真とのつながり、原爆が普通に豊かに生活していた人たちのところに落ちたことを感じさせる。病院内で治療を受けている写真(B案)もそれなりにインパクトはあるが、もう少し深い意味で少女の写真のほうがいいのではないかと思う。

 

大澤委員

まだ迷っている。少女のほう(A案)は、深い意味でずっと見たらすごくいい写真だと思った。何回も来ている人には、被爆後の30何年生きたというストーリーがあってよい。初めて来る人には、B案のほうが原爆のひどさが感じられる。もう少し知っていると、医者に関するストーリーも出てくる。まずインパクトというと男の子の写真であるが、何回も来てよく知った上で見るときには女の子がいい。

 

神谷委員

インパクトという意味では、2枚目の顔面に熱傷を負った少年の写真(B案)のほうが、見ただけで原爆の悲惨さを伝えると思う。少女の写真(A案)は、近くで見れば日常が背景にあるのがよくわかるので、原爆が突然日常を破壊することがイメージされる。何をまず最初に訴えたいかによって展示の仕方も変わってくると思う。

 

水本委員

被爆の実相にはさまざまな要素があるので、資料館を代表する写真もそこを考えるべきである。また、世界中から来る来館者の中には、悲惨な体験を持ち希望や癒しを求めて来る人もいる。少女の写真(A案)は懸命に耐えているような表情で、そういうメッセージ性もある。その意味ではA案のほうがいいと思う。B案はショッキングな写真ではあるが、むしろ人体への影響というところで出すほうがいいのではないか。

 

賴委員

どちらもいいと思うが、入って近づいていく視点ではB案が当時の状況を示しており、やけどの跡や傷もある程度説明をつけられると思う。女性のほう(A案)は、左耳の下がどうなっているのか遺族からの説明があればいいが、B案が実際に治療を受けている状態でわかりやすいので、こちらのほうがいいと思う。

 

小溝委員

どちらもいいと思う。女の子のほう(A案)は、遠方からは見えないが、近づくにつれて服装、表情、傷、現場などいろんな観点から、被爆の実相を訴える力がある。また、正面を向いた少女の表情が見に来られる方々に対して何らかの問いかけをしているように思える写真なので導入部にふさわしいとも言える。B案は、より知られている写真であり、被害の実相をより直接的に見せている。A案と違い、写真の背景事情が不明ということだが、もうちょっと調べればストーリーがわかるかもしれない。それによって持っている意味が違ってくるかもしれないので、もうちょっと時間をかけて選択してもいいと思う。

 

今中委員長

どちらかといえば少女のほう(A案)がいい。理由は、顔と目が写っていること。人に与える印象というのは顔の表情が決定的だと思う。皆さんの意見が拮抗し、中間的な意見もあった。少女の被爆の場所やその後の人生を示すやり方があると思うので、その辺も含め、きょうはペンディングとさせてもらう。
エントランスの写真以外はほぼ方向づけしたと思うので、あとの細かい点は事務局に委ねたい。最終決定の段階で若干の修正があってもいいが、エントランスの写真以外の基本線は確認したことにさせていただく。

 

【事務局】

今後の予定について説明

 

《閉会》